熊本・大分のためにいまできること

自分のリソースを活用する支援のかたち

2016.10.26

はじめまして。福岡で広告の企画・制作などをやっております和久田と申します。拙筆ながら少しだけ書かせて頂きます。お声がけいただいたきっかけは、以下の動画『#フレフレくまもと!三百六十五歩のマーチ 熊本バージョン』を企画・制作し、公開したことです。

これは、熊本地震よりちょうど半年の10月14日、全国のみなさんからの支援への感謝の証として、被災しながらも復興へ向けて進む熊本人たちの元気の印として、そして決して風化させてはならない、熊本地震の「今」を伝えるための動画として、熊本県の公示(コンペ)に参加し採用された企画です。

この動画を企画するきっかけとして、少しだけ自分の想いを綴らせていただければと思います。

熊本地震が起きた時、私は福岡にいて震災により中止になったイベントや、開始するはずだったキャンペーンの延期対応などに追われていました。それと同時に、テレビから繰り返し流れる悲惨な状況を見るにつけ、「このまま福岡で仕事をしていていいんだろうか」「現地に行って何かした方がいいんじゃないか」という想いに駆られていました。

私の実家も熊本で、玉名というところで旅館を営んでいます。幸いにも被害が軽微な地域だったのですが(それでも相当揺れたようです)、地震発生直後から実家とは連絡を取り合い、本震の翌日は休日でもあったので、両親を安心させるためにも、とるものもとりあえず熊本に帰りました。

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本震翌日の玉名市の様子

旅館の予約は当然ながら全てキャンセル。静寂に包まれた実家のテレビで被害状況を見ながら、弊社の熊本支社で被災したメンバーを含めたグループチャットを開設し、何かできることは無いか、一晩中スマホを握りしめていました。

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本震翌日の玉名市の様子

同時期、漫画家の方々がはじめられたある運動が、ネットを中心に話題になっていました。恐らくご存知の方も多い、漫画家の皆さんが熊本のご当地キャラ・くまモンの絵を描いて応援する「#くまモン頑張れ絵」です。これを見た時、自分の中で燻っていた「何かできることは無いか?」という問いに対するひとつの解を見た気がしました。遠くからでもできる心の支援のひとつの理想像を見た思いがしました。漫画家の皆さんたちの持っているリソース(=資源)は、絵を描くこと。それでは、広告人である自分のリソースは?

気づけばすぐに企画書を書きはじめていました。翌月曜日には東京のACジャパンの事務局に遠隔でプレゼン。すぐさま漫画家の皆様や出版社の方々へ連絡を取り、震災の一週間後にはACジャパンの「差し替えCM」を制作し、自分でCM素材の入った紙袋を持って、復旧したばかりの九州新幹線に乗り込み、余震の続く熊本へ向かいました。

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半年たった今の熊本城の様子

その経緯については、BuzzFeedさんに書いていただいた記事により詳しく載っていますので、お時間のある方はごらん下さい。CMの素材はACジャパンホームページにて。

この「#くまモン頑張れ絵」を使ったACジャパンのCMを企画・制作したことで、自分の持つリソースは、広告を企画したり制作したりすることであることを再認識し、そのような面からの支援活動ができないかということを模索しはじめました。そして、震災から半年経った10月14日に公開したのが、冒頭に紹介させていただいた動画になります。

実際に被災地で頑張る皆さんや、故郷を思うタレントの皆さんの声で水前寺清子さんの代表曲「365歩のマーチ」を歌いつないでいく。ものすごくシンプルな企画ではありますが、その分制作には気を遣いました。できるだけ被災地の「今」を描くこと。頑張っている皆さんの力強さを真摯に切り取ること。

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映像の撮影の様子

もしかしたらこういう動画を作って公開しても、実際の支援には何の役にも立たない。そういうネガティブな声をいただくことも覚悟しましたし、益城や阿蘇など被害が甚大な場所に住んでいる被災地の方々はどう思われるんだろう。そういうこともスタッフの中で何度も議論しました。しかしながら少なからず勇気をもらったり、震災の記憶の風化を防いだり、それだけの力のあるものをつくればきっと、何かしら良い影響が生まれるはず。

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映像の撮影の様子

もしも自分が、漫画家であれば絵を描いたりしたでしょう。もしも自分が、タレントであれば炊き出しに行ったりしたでしょう。もしも自分が、あの院長のように資産家であれば多額の寄付をしたでしょう。しかし自分は、熊本を愛する一人の広告人です。広告をつくることしかできない。

震災から半年が経過し、復興は新たなフェーズへ入りはじめています。今さら自分にできることなんて、と考えられている方も多いと思います。でも、復興は、まだまだこれから。僕は自分の持つリソースである広告を活用し、その面からの支援活動をこれからも続けていこうと思います。

きっと誰しも、自分ならではのできることはまだまだある。何もボランティアに行くことだけがボランティアじゃない。美味しそうにモノを食べる人は、太平燕(タイピーエン)や馬刺しを食べにきてくれたらいい。写真が好きな人は熊本の写真を撮ってインスタにアップしてくれたらいい。笑顔が素敵な人は、熊本へ来て笑ってくれるだけでいい。現地に行かなくても熊本産のトマトを買ってくれたらいい(今からが冬トマトの旬です)。

先述の動画を紹介するWEBサイト『フレフレくまもと』 には、以下の文章を掲載させていただきました。

”これは、震災から半年が経過した、くまもとの今の記録。そして、ふるさとを取り戻すために復興への道を歩き続ける、私たちの決意の歌。

うつむくな笑え、フレフレくまもと。”

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今回新たに制作した365歩のマーチ熊本バージョンの歌詞

みんなで笑って、ともに復興を目指しましょう。あ、うちの旅館も、元気に営業中です!(最後に少しだけ宣伝)

【和久田昌裕プロフィール】

電通九州 クリエーティブ・ディレクション局。1979年、熊本県玉名市生まれ。九州大学で建築/都市計画専攻。大学院修了後、2004年電通九州入社。クリエーティブディレクター、コピーライター、CMプランナーとして、企業広告、行政プロモーション、商品広告、 WEBプロモーション、イベント、PRなどのコアアイデアやコミュニケーション戦略を立案。直近の主な仕事は「#フレフレくまもと」「熊本赤ブランド推進事業」「熊本ふろモーション課」「JRおおいたシティ開業プロモーション/ひらけ★おおいたプロジェクト」「進撃の巨人展 WALL OITA」「河童と人魚の延岡移住計画」「佐賀県移住促進事業/人生のS暮らす」「佐賀県県産品PR事業/あさご藩」「ACジャパンテレビCM/#くまモン頑張れ絵」など。実家は旅館。