取材班による現地レポート

ボランティア活動を通じて、学生と地域の関わりを~広島大学 OPERATIONつながり

2019.09.24

西日本豪雨後の東広島市で、災害ボランティアを志願した学生たちと地域との絆づくりをサポートした学生団体があった。広島大学の学生ボランティア団体「OPERATIONつながり」だ。災害ボランティアセンターで長期にわたって派遣ボランティアのコーディネートや被災者のニーズ調査などの裏方を務めた彼らに、この1年を振り返ってもらった。

石原さん(左)と竹谷さん

2011年3月に起きた東日本大震災では、数多くのボランティア団体が発足し、現地入りした。広島大学(東広島市)でも、被災地に復興支援ボランティアチームを派遣するOPERATIONつながりが立ち上がった。8年が経過した今年も東北派遣が行われるなど、息の長い支援が続いている。

平成30年西日本豪雨の翌朝。
広島大学の周辺は、大きな被害はなかった。
しかし、東広島市内ではすでに死者が出ており、土砂崩れによる交通の寸断が起きていた。

その日の午後、「OPERATIONつながり」のメンバーで、集まれる学生たちが、普段活動しているボランティア情報室に集まった。
同団体代表(当時)の竹谷尚子さん(工学部3年)は、駆け付けた10数人のメンバーに問いかけた。
「私たちは災害支援団体として、どう行動するべきだろう」
まずは現状を把握するための情報収集。そして、「何をメインに支援していくか」という支援の目的について話し合った。

その頃、東広島市社会福祉協議会では、災害ボランティアセンター設立に向けて動いていた。社協主催の地域サロンで、レクリエーションのボランティアを「OPERATIONつながり」が担当していたこともあり、社協から直接「ボラセン運営を手伝ってくれないか」と声が掛かった。

9日、東広島市にボラセンが開設された。
OPERATIONつながりは、竹谷さん、石原さんを中心に、社協のスタッフの指示の下、ボラセン運営を手伝うことになった。社協の指示の下とはいえ、するべきことは多岐にわたった。
次々に訪れるボランティアへ、ボランティア保険の説明をする、誘導する、センター内の動線を考える、マニュアルを作成する…。
ボラセン内だけではない。被災地の状況を把握しようと、社協スタッフと現地を見て回ったり、実際に土砂撤去の力仕事も行ったりしたという。

災害ボランティアの受け付け(OPERATIONつながりフェイスブックページより)

「自分たちだけでなく、広島大学の学生にも参加してもらおう」と、2014年の広島土砂災害に続いて今回も、大学の協力を得て、ボランティアバスの運行が決まった。大学からボラセンまでの道を往復するボランティアバスの運行は、7月11日から9月2日まで続いた。

「大学周辺は被害がなかったこともあり、学生の中には、ボラセンの存在すら知らない人がいました」と石原さん。どこへ行けばいいか分からなかった学生や、ボランティアに行きたくても交通手段がなかった学生にありがたい措置で、のべ1,300人がバスを利用した。

学生にボランティア参加を呼び掛けるチラシ(OPERATIONつながりフェイスブックページより)

広島大学のサークルであるOPERATIONつながりがボラセン運営に関わったことで、東広島市内の他の大学の学生との交流も生まれた。他大学のサークルや個人がボランティアに来てくれ、運営を手伝ってくれることもあった。互いに年の近い学生同士、意思疎通もスムーズだったそうだ。

7月17日からは、休止していた大学の授業が再開した。学生たちは、あくまで学業優先だ。
そのため、竹谷さんはアプリで事前に出欠確認を行い、役割分担もし、シフトを組んだ。
日が経つにつれボラセン運営も落ち着いてきて、OPERATIONつながりのメンバーにも余裕が生まれてきた。もともと石原さんたち地域部のメンバーの数人は社協と連携していたことから、スムーズに人間関係を築くことができたという。
ボラセンが閉鎖される9月7日までの2カ月間、当時の部員約50人のうち、実に44人が運営に何らかの形で関わった。

運営だけでなく、土砂かきや災害ゴミの撤去などの現場作業も行った(OPERATIONつながりフェイスブックページより)

怒涛の2カ月を振り返り、竹谷さんは「学生という立場でボラセンに関わらせてもらったので、笑顔と若さを生かし、センター内の雰囲気作りを心掛けました。自分の人生の中で、本当に大きい出来事だったと思います」、石原さんは「がむしゃらに突っ走った2カ月でしたが、大人の人と協力し組織の中で動くという貴重な体験でした。コミュニケーションの大切さも感じました」と話していた。

ボラセンは閉鎖されたが、その機能は「ささえあいセンター」に引き継がれている。

OPERATIONつながりのメンバーは、今年2月より、今なお仮設に暮らす人が多い安芸区坂町への支援を続けている。災害部が中心となり、季節行事のイベントを開催したり、被災者へ足湯サービスや手もみ、傾聴などのボランティアを行ったりしているという。
「土砂撤去といった目に見えるボランティアだけでなく、被災者の皆さんは何に困っているのか、何を望んでおられるのかを考え、心に寄り添った支援活動をしていきたい」と竹谷さん。沖縄出身の石原さんは「沖縄は災害が少ないので、今回の豪雨災害は衝撃的でした。ボラセンに本当にたくさんの人が来て『役に立てることはないか』と言ってくださる姿に感激し、人のあたたかさを感じました」と振り返る。

OPERATIONつながりの、これらの活動が認められ、大学から表彰された。
また、これらの活動は、後輩に口頭で伝えるとともに、今まで同様全て記録に残し、後輩たちに受け継がれていく。

学生団体は、創立した人が卒業するととたんに弱体化したり、存在がなくなったりと、引き継ぎが難しいと言われる。広島大学もしかり、だ。
だが、OPERATIONつながりは違う。
災害を目の当たりにし、被災者に心から寄り添ってきた先輩たちが残した経験と記録がある。

私たちは、”つながり”をつくる学生ボランティアです。
と彼らが言い切れるのは、創部以来受け継がれてきた先輩後輩の「つながり」が強固だからだ。

そのつながりは、被災者の心へもつながっている。

 

 

いまできること取材班
取材・文 門田聖子(ぶるぼん企画室)
写真 堀行丈治(ぶるぼん企画室)

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