取材班による現地レポート

住民の視点を生かす復興まちづくり〜西予市野村地区「のむら復興まちづくりデザインワークショップ(第1回〜第5回)」

2019.11.29

愛媛県西予市が平成31年3月に策定した「西予市復興まちづくり計画」。災害を乗り越え、誇りを持てる西予市を目指していく計画の中で、人的被害・物的被害の大きかった野村町野村地区の復興方針も示された。野村地区の住民は、ワークショップを通じ、目指すべき姿を模索していった。

(画像提供:西予市)

野村地区の復興方針の、具体的な内容は以下の通り。

  1. 生活の基盤となる安心・安全なまちづくり
  2. 安心・安全に暮らせる住まいの早期確保
  3. 市民、行政、学識者等との協働による未来へ飛躍する復興の実現
  4. 人と人とのつながりを活かし復興の輪を広げる

 

3.の具体的な取り組みのため、愛媛大学や東京大学の協力を得て、自治会関係者、社会教育団体の長、商工会、高校生、一般参加者などが参加し、全6回の「のむら復興まちづくりデザインワークショップ」が開催された。5回目までのワークショップの経緯は次の通り。

 

第1回 高校生が考える、野村の「これから」

(画像提供:西予市)

5月24日、野村公民館において、愛媛大学と東京大学復興デザイン研究体の協力の下、初回の「のむら復興まちづくりデザインワークショップ」が開催された。参加者は23人。

この日は、3月13日に地元・野村高校で行われた「野村のこれからを考える」ワークショップで出た意見をまとめた「野村高校生が想う復興まちづくり提案」についての発表があった。グループワークでは「野村の思い出、残したいもの」「野村で新しくしたいこと」などを話し合った。

 

第2回 川とともに築く未来

(画像提供:西予市)

2回目は6月24日に開催され、30人がグループワークを行った。1回目で多くの意見が出た「①肱川とその周辺の整備・活用」「②商店街の活性化」「③野村の文化の継承と観光」「④日常生活サービスの維持・更新」の4つのテーマに沿って話し合った。

「①肱川とその周辺の整備・活用」については、「水とふれあえる空間にしたい」「川の中をデザインして歩いて渡れるようにする」「芋炊きやバーベキューなどのイベントで活用する」「安全で安心できる生活空間にしたい」「河川の整備と放流時の安全対策をする」「多くの空き地を利用し、雨庭を整備する」という意見の他、「ダムの放流時の河川状況は大丈夫か」と心配する意見もあった。

 

第3回 住民の意見をもとに、テーマを具体化

(画像提供:西予市)

この結果を受けて、7月23日に開催された第3回のワークショップでは「①肱川とその周辺の整備・活用」について、具体的な過ごし方や使い方のアイデアを話し合った。参加者21人が5つの班に分かれ、意見を出し、良いと思う提案にシールを貼り、投票も行った。親水空間、自然公園、水をモチーフにした公園、体育館代わりの空間などの提案があり、「水と親しむことができる場所」「人が集うことができる場所」という意見が多かった。

 

第4回 文化を育て、交流を生むための意見交換

(画像提供:西予市)

8月22日に開催された第4回のワークショップは、西予市野城総合福祉協会「野城ふれあい館」を会場に、29人が参加して開催された。第3回で出た「①肱川とその周辺の整備・活用」について、愛媛大学や東京大学が作成した整備案が発表され、意見交換を行った。

後半は、「商店街の活性化と野村の文化継承」についての意見交換を実施。「手すき和紙や織物の体験」「酒と相撲をさらに取り上げる」「ミルクとシルクのイメージを発信する」「酒蔵復活に期待」の意見の他、「野村高校のマイ(自分)プロジェクトを後押し」「チャレンジショップや大学生の研修など、若い人が来るきっかけづくり」という意見もあった。

 

第5回 避難行動の再点検と河川整備の取りまとめ

(画像提供:西予市)

第5回のワークショップは、9月25日に西予市野城総合福祉協会で24人が参加し、開催された。この回では、東京大学工学系研究科 復興デザイン研究体による「野村の避難行動を考える」の発表があった。「どうやって避難する?」という問題提起に、「避難支援のしくみをつくりだす」「事前に避難したいと思える避難所」「まちの道を知っておく」という説明があった。

また、テーマ「①肱川とその周辺の整備・活用」は、前回のワークショップで出た意見をもとに作成した整備案を提示し、避難行動もふまえた上で意見交換を行うという、より具体的な内容となった。また、「④日常生活サービスの維持・更新」についても意見交換を行った。

次回、10月24日に開催予定の第6回ワークショップで、これまでの意見を集約。住民の提案事項として「のむら復興まちづくり計画(案)」としてとりまとめる。

 

いまできること取材班
取材・文 門田聖子(ぶるぼん企画室)

一覧へ戻る