取材班による現地レポート

住民の視点を生かす復興まちづくり〜西予市野村地区「のむら復興まちづくりデザインワークショップ(第6回)」

2019.11.29

愛媛県西予市野村地区の「のむら復興まちづくり計画(骨子案)」は、立ち上げの段階から住民が参画し、意見を集約しながら作り上げている。過去5回のワークショップを経て作成した骨子案をチェックし、ブラッシュアップする第6回(最終回)のワークショップを取材した。

10月24日、西予市野城総合福祉協会「野城ふれあい館」にて開催された第6回のむら復興まちづくりデザインワークショップには、住民21人が参加した。

始めに西予市復興支援課の和氣岩男課長が「ワークショップ最終回となりました。今日出たご意見も反映し、住民からの提案事項としてとりまとめます。これまで、さまざまなご意見をいただき助かりました。これからも、皆さんの意見が通るまちにしていきたいと思っています」とあいさつ。

続いて、愛媛大学社会共創学部の松村暢彦教授が第5回までを振り返り「ここまで皆さんがつくられてきた計画、ゼロから皆さんの案を積み上げてきたこと、これは本当に稀有な事例です。通常は、行政や専門家が提案して、それをまとめた後に住民参加というケースが多いもの。住民の皆さんの声から計画案ができたという事実は、台風19号被災者にもきっと力を与えることでしょう。実際に形にする・しくみをつくる・より良いまちづくりをするために、どういうアプローチをするのかまで考えられているため、締めくくりではあるけれど、次のステージへの始まりでもあります」と、参加者に語りかけた。

松村教授は、今回のワークショップの一番のポイントは、「単に空間を提案するわけではない」という点だと説明。

「これまでまちづくりをしてきた人たちが、さらによいまちにするために、『自分たちはどういうアプローチをするのか』という決意が含まれているのが、この計画の大きなポイントです。災害があった場所を復興させるだけでなく、未来の野村の在り方を考えることや、日常生活の改善も大切だからです」と力を込める。

また、「市民の視点で作り上げた」のがもう1つのポイントと話す。愛媛大学、東京大学の協力のもと、野村地区内自治会、各種団体の代表者など、公募により集まった市民、野村高校の生徒などが参加し計画を検討した点を評価する。

その後、5回のワークショップの意見をまとめた「のむら復興まちづくり計画(骨子案)」が配布され、グループに分かれて、追加すべき内容や修正すべき点を話し合った。

話し合いののち、骨子案をひとつずつ精査。参加者からは「既存の商品についても支援しPRしていく」「避難したくなる、避難してもよいと思う避難所を目指す」など、さまざまな意見が付け加えられた。

野村高校普通科3年の髙橋良太さん(18)は全てのワークショップに参加。加わったきっかけを聞くと「昨年7月の豪雨で、友人が被害に遭ったことと、高校では野球をしていて地域の人にお世話になったので、ワークショップに参加し、野村の復興まちづくりを考えたいと思った」と答えてくれた。

「ワークショップでは皆さんに高校生の思いを発表させてもらいましたが、大人の中で若者としての意見が出せたのはよかったと思っています。被災から1年と少しが経過し、以前よりは復興を感じるものの、まだまだ完全ではありません。今後は大学に進学しますが、復興の研究をしていきたいと思っています。原点にあるのはやはり地域愛です、地域に貢献したいと思っています。川が近くにある野村を生かせる施策はないか、これからも考えていきたいです」と頼もしい。

本町3丁目の区長、宇都宮司朗さんは「一人一人、違う意見が出てきましたが、私は『頂点は一つ』と思っています。『被災した野村を、よりいい野村にしていこう』と思う気持ちはみな同じなのです。6回のワークショップで出た意見をみんなで共有し、1人で100歩より100人で1歩を目指してこれからも頑張っていかねばならないと思います。昨年の豪雨で会社の事務所は崩壊、自宅も浸水しましたが、みんなで一つになって前進して行けたらなと思っているんですよ」と感想を述べた。

途中から参加したという稲葉惠子さんは「四国西予ジオパークのガイド養成講座で勉強中です。自然や大地、人との共生は大切なことと思っています。文化を継承し、若い世代につないでいくことも我々の責務。日本では防災の重要性が高まっていて、自分で自分の命を守ること、そして地域の人も地域で守っていかねばなりません。要支援者などを地域で把握して、いざというとき、どう動いていくか考えることが重要でしょう。今日決まったことをみんなで共有したいです」と力を込めた。

この日の意見を反映した提案は、市の関係課などで調整し、実行に向けた「のむら復興まちづくり計画アクションプラン」の作成に活かされる。学識者や地域の代表者などから構成される委員会を開催し、委員会の意見もふまえ、計画推進へ向けて動いていく。

 

いまできること取材班
取材・文 門田聖子(ぶるぼん企画室)
写真 堀行丈治(ぶるぼん企画室)

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