取材班による現地レポート

被災後の来場者減を食い止めたい 動物愛護センターで「写真教室」

2018.12.22

(画像提供:ワンハート制作委員会 吉岡亜貴さん)

日々の生活に、大きな被害をもたらした西日本豪雨。人命救助に続き、公共施設や公共交通機関と、順に平常を取り戻しつつあるが、どうしても支援が後回しになってしまうこともある。その一つは、もしかしたら動物かもしれない。

 

来場者減に悩む呉市動物愛護センター

(画像提供:ワンハート制作委員会 吉岡亜貴さん)

呉市は、今回の災害でも特に被害が大きかった。主要道路が寸断され一時孤立した地域もあり、その後も主要道路の渋滞、JR呉線の一部不通が長く続いた。

呉市郷原町にある動物愛護センターは、直接の被害はなかったものの、被災以後、「来場者減」という「被害」に悩まされている。来場者減は、新しい飼い主を待つ保護犬猫が増えることにもつながる。動物愛護への関心が薄れていくのも心配だ。そんな声が、同センターのボランティアから届いた。

そんな中で、この現状を知った隣市・東広島市のボランティア団体とプロカメラマンたちが企画したのが「がんばろう!!広島!! 西日本豪雨被災地地区 呉市動物愛護センター盛り上げ企画 写真教室」だ。

会場となる呉市動物愛護センターは、素晴らしい眺望の中にあり、撮影スポットもたくさんある。ここで、愛犬写真家 花本晋さんから、撮影の心構えやコツを学ぶというもの。受講料の1500円は、同センターのボランティアの活動費や、収容動物の不妊去勢代として全額寄付される。

日時:2019年1月27日(日) 13:00~
場所:呉市動物愛護センター(呉市郷原2380-319)
主催:ワンハート制作委員会
お問い合わせ:tatorario58@gmail.com
電話番号:070-5452-6522

 

講師・愛犬写真家 花本晋さんの思い

(画像提供:花本晋さん)

広島を中心に、日本全国へ出張撮影やフォトレッスンを行っている愛犬写真家 花本晋さん。今回の呉市動物愛護センターのSOSを知り、写真教室の講師として協力する。
「当日はカメラや写真の基本のキをお伝えすると共に、一般の写真教室や本などでは決して学べないであろう犬写真の撮り方、犬たちとの接し方、撮影するにあたっての心構え(実はこちらの方がカメラのスキルを上げていくよりも大切な部分)などをお伝えいたします」と話す花本さん。
楽しみながら写真が上達し、犬や猫たちとの関わりも深くなれば、互いにより豊かな関係性を築いていける。そんな時間になることを目指しているという。

「その積み重ねが動物を取り巻く環境や社会をより良くすることにつながると信じて。生きとし生けるもの全てが幸せでありますように」
あなたが撮った一枚の写真が、犬や猫との関係を深めていく。そんな動物愛護の形もある。

 

呉市のボランティア 増本聡さん

(画像提供:ワンハート制作委員会 吉岡亜貴さん)

今回の災害後、来場者減を心配しているボランティアの一人、増本聡さん。呉市在住で、呉市動物愛護推進員に任命されている。動物愛護推進を目的としたボランティア活動、啓発活動等を行う「くれアニマルボランティアの会」の代表も務める。

(画像提供:増本聡さん)

災害後の7月20日、生後3カ月(左)で同センターに保護された律くん。「こんなにかわいらしく、生後3カ月の子犬であれば、普段はすぐもらわれていくのですが、災害後、来場者が減ったことが影響し、12月15日現在、まだセンターにいます。現在、8カ月(右)です」と増本さんは説明する。

 

主催は隣市・東広島市の「ワンハート制作委員会」

「保護犬猫を迎えよう」にて、古賀さん(左)

東広島市で民・官共催のイベントとして定着しつつある「保護犬猫を迎えよう」。年に2回のイベントは、支援団体の他、獣医や学校の教員、ミュージシャン、俳優、動物写真家、イラストレーターたちが協力。県外まで、さまざまな協力の輪が広がっている。それにより、多くの人が譲渡会に足を運ぶきっかけとなり、『譲渡会の必要のない街づくり』を目指して、保護犬猫を通し、動物福祉の啓発につなげている。花本さんも増本さんもこのイベントに協力している。

こちらのイベント主催者は、東広島市でピアニスト、ピアノ講師として活動しながら、動物福祉啓発グループ「ワンハート制作委員会」の代表も務める古賀木綿子さん。今回の、呉市動物愛護センターの写真教室も主催する。

(画像提供:ワンハート制作委員会 古賀木綿子さん)

古賀さんは、被災した東広島市内でも、避難所生活を送る人のペット問題にいち早く対応。広島県動物救護支援本部と連携し、ペット用品が必要な人に物資を届けたり、避難所の一角にペットの支援物資設置場所や相談ノートを設けたりと、飼い主とペットに寄り添った活動を続けた。

(画像提供:ワンハート制作委員会吉岡亜貴さん)

発災から5か月。増本さんから、愛護センターの来場者減少の話を聞いた古賀さんは、グループメンバーと話し合い、愛護センターに収容されている動物たちの現状を広くいろいろな人に知ってもらいたいと考えた。「写真を介して情報のシェアをお願いし、適正な譲渡にも繋がる心温まる企画にしたい」と、地域を超えて動き始めた。

「呉市動物愛護センター、愛称『呉アニマルパーク』は、国内でも大変珍しく、市民ボランティアが収容動物に幅広く関われる動物愛護センターです。そんな貴重な場所が近隣に存在する事に、とても期待してきました。緑豊かな環境の中に、笑顔と学びと慈しみが満ちてほしい。ゆくゆくは、収容動物が入ってこないセンターを目指して」

災害を乗り越えた先には、人や動物を取り巻く社会が優しいものであってほしい。
呉市動物愛護センターでの写真教室は、その第一歩だ。

 

いまできること取材班
文・門田聖子(ぶるぼん企画室)

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