取材班による現地レポート

復興のキーワードは「創造」~広島県が推し進める施策と事業(後編)

2019.04.09

前編に引き続いて、同じく柱の一つである、「新たな防災対策を支える人の創生」について、危機管理監の藤谷吉秀減災対策推進担当課長に話を聞いた。

(藤谷課長)

ー過去に起きた豪雨災害も含めて、広島県のこれまでの取り組みを聞かせてください
西日本豪雨では、直接死が109名。そのうち80数名は土砂災害で亡くなっています。広島県内の土砂災害の危険箇所数は、平成14年に発表された当時、全国で最多の32,000でした。

平成11年6月29日の豪雨災害時は、広島市佐伯区から当時の安芸津町にかけて31名が亡くなり1名が行方不明という大災害でした。このことを受け、6月を防災月間、「ひろしま防災の日」を6月29日と定めています。

平成26年8月20日豪雨では、実に74名の方々が亡くなり、関連死が3名という大きな被害が出ました。再びこのような被害を出さないために、これまで以上に減災に全力で取り組んでいくという決意の下、ハード・ソフトが一体となった対策をより一層推進するとともに、自主防災組織・事業者・広島県をはじめとする行政等が一体となって「みんなで減災県民総ぐるみ運動」を平成27年度からスタートさせました。

土砂災害の発生状況(写真提供:広島県)

ー防災・減災のために、県民にはどんな呼び掛けをしていますか
広島県では、災害から県民一人一人の命を守っていくために、5つの行動目標を定めています。

アクション①身の周りの災害危険箇所などを知ろう
避難場所は、災害によって適応できる所とできない所があるので、周辺の災害リスクと非難場所を知っておきましょう。

アクション②災害発生の危険性をいち早く察知しよう
注意報・警報・県内特別警報など、自分にとって危険を知らせる物を、意味を含めて知っておいて確実にキャッチしましょう。

アクション③自ら判断して適切に行動しよう
市役所や町役場から「避難準備情報」が出たら、お年寄りや子ども連れのお母さん、元気でも避難場所が遠い人は、早めに避難しましょう。避難とは、「避難場所へ着いて初めて避難である」ことを肝に銘じましょう。
※避難情報には、「避難準備情報」「避難勧告」「避難指示」とあり、どれも「逃げてください」という意味に変わりはありませんが、「避難準備情報」や「避難勧告」では、逃げ始め、「避難指示」では、避難を終えてくださいということです。
※暗い夜に雨が降ると、水路が増水し、近寄ると危険です。避難指示が出たら「その場で取りうる最善の行動は何なのか」を考えながら行動してください。

アクション④防災教室などに参加して、災害から命を守る方法を学ぼう
普段から自主防災会などで防災訓練や勉強などをすることも大切です。

アクション⑤非常持出品を準備するなど災害に備えよう
非常持ち出し袋はいつでも持ち出せるよう準備しておきましょう。すぐに避難所で炊き出しが始まるわけではありません。1晩くらい過ごせるような食料を持って逃げましょう。
地震の場合の備えも大切です。家具が倒れて下敷きになって怪我をし、動けなくなる事例もありますので、家の中での安全も事前に考えておきましょう。
ライフラインが寸断すると、必要な物資が届くまで3~7日かかるといわれています。最低でも3日間はしのげるよう、命をつなぐための準備をしておきましょう。

ー「災害から命をまもるための行動」について教えてください
命を守るためには、川があふれ土砂災害が発生する前に、安全なところへ身を寄せることに尽きると思います。しかし、新聞報道にもあるように、今回の災害では実際に避難行動をとった人が少なかったと受け止めています。早めに避難した人、しなかった人、避難行動がとれなかった人、それぞれの行動理由や判断基準など、避難行動調査を進めているところです。

昨年、9市町500人に面接・ヒアリングを行いました。現在(平成31年2月時点)、1つ1つの証言を大切にし、「何を思ってそういう行動になったのか」を分析しているところです。そこからみえてきた共通のキーワードを基に、新たな質問を作り、被災地のうち直接死が出た市町の人5000人を対象に、4月からアンケートを実施します。調査後、家にとどまるのではなく、逃げてもらうための要素はなにか、を導き出し、「避難をしてもらうために何が必要なのか」を踏まえ、自助・共助・公助の対策を考えていきたいと思います。

面接調査の設計(写真提供:広島県)

ー今後の課題はどのようなものでしょうか?
7月豪雨では、広域にわたって同時多発的に戦後最大級の災害が発生しました。この災害では、自助、共助、公助それぞれの課題が出てきたと考えています。

公助については、避難情報を早期避難の動機付けにするために何をすべきかが課題です。「住民がとるべき行動を具体的に伝える」「避難行動について具体的に伝える」「発令対象地域を絞り込む」「伝える内容をわかりやすい表現に」が大切です。このため、市町と一緒になって、避難情報の発令に係る体制や手順などについて確認を行い、課題を洗い出したうえで、出水期までに改善を進めることとしています。

共助では、昨年10月から県内全ての自主防災組織を対象に、活動状況調査(どんな活動をしたか)を行い、現在結果を分析しているところです。分析の過程で「避難をしましょう」という声掛けをした所は、避難をした人が比較的多かったということが分かってきました。今後、この結果を基に効果のある避難の呼びかけ方法を検討したいと考えています。

いざという時の対応は災害によって違います。地震はいきなり起きることから「自助」。ある程度天気予報等で予測でき、インターバルがあるものは「防災情報」「避難勧告」など公助からアプローチすることとなります。つまり、「公助」→「共助」→「自助」という流れになります。

避難行動に関する調査・分析を通じて、自助に関するものについては、自助を後押しする「みんなで減災」県民総ぐるみ運動の充実強化を図り、より効果の高い取り組みにしていきたいと思っています。

前編はこちら

 

いまできること取材班
取材・文 門田聖子(ぶるぼん企画室)
写真 堀行丈治(ぶるぼん企画室)

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