取材班による現地レポート

「imim(いむいむ )」が被災地で歌う〜歌のチカラを信じて〜

2019.05.02

突然やってきた「真備町」

2人がやってきたのは、2018年8月2日。平成30年7月豪雨から約1ヶ月。真夏の暑い暑い日が続いていた。彼らの名前は「imim(いむいむ)」。Koheiこと宮脇浩平さんとKenこと池田健さんの音楽ユニット。高校の同級生だった二人は、大学2年生の時初めてのステージに立つ。一度は就職した二人だったが、2012年ミュージシャンとして本格的に活動し始めた。

縁もゆかりもない二人が倉敷市真備町に来たのには理由があった。ミュージシャンでもありユーチューバーでもある二人は、ステージでは見られない二人の姿をyoutubeで発信している。2018年春からは全国行脚をしていた。3カ月間かけて、栃木、東京、群馬、山梨、埼玉、千葉、茨城、神奈川をまわる「いむ旅」関東編を終え、関西編に突入していたある日、災害が起こった。

真備町と向き合い発信する日々

当初は3日間だけのつもりだった。真備町呉妹を訪れて行ったのは、泥に浸かった荷物の搬出だった。長靴を履き、マスクをして、汗だくになった。この頃、被災地の状況を全国に届けるためにyoutubeにもアップしている。ガレージを提供して行われるお茶会にも顔出し、真備町の人の話を聞くようになり、9月12日、初めて歌わせてもらうことになった。

歌うことが復興になる

「改めて歌の底力を知った」と彼らは言う。いつも辛い表情のおじさんが笑ってくれた。ほんのひと時だけど、肩を揺らし、手拍子をして忘れることができた。「ありがとう」の言葉が身に沁みる。感謝を伝えたいのは、こちらなのに。

このことを知ったのか倉敷市社会福祉協議会の方からこのエリアだけじゃなく、歌いにきませんかとオファーをもらえるようになった。秋が来て涼しくなってくるとボランティアの数の減り、力仕事も大切だったが、自分たちの使命をより強く感じ、積極的に歌うようになった。

そもそも「いむ旅」を始めたのは、目を見て、手の届く距離で歌を伝えたいという思いからだった。300人以上動員したワンマンライブ、2000人の前で歌ったこともあった。それはそれで素晴らしい体験だったが、ストリートで歌うことで歌の力を感じることが多くなっていったという。

「とくべつ」という歌

「あたなと出逢えたこと  あなたと笑えたこと

僕は今でも『とくべつ』と思っているよ

あなたと出逢わなかったら  あなたじゃなければ

きっと『とくべつ』なんて言葉  わからなかったね」

作った時は恋愛の歌だったかもしれないが、今は真備町の人の心に響いていく、届いていく。

ボーカルユニットとして

少しずつimimの歌を聞きに来る人が増えて来た。彼らの目標は紅白歌合戦出場にすること。Koheiは赤、Kenは白の服を着てステージに立つ。応援しにやってきた二人が応援されるようになった。先日のファンミーティングには40人以上の人が集まった。小さな子どもにも人気があり、自由に遊ぶ子どもたちを前に歌う。歌に励まされ、元気をもらい、勇気をもらう。またimimに集う人たちのつながりができている。

元気を届けに、多くのアーティストが真備町にやって来た。二人の歌は寄り添い、共に過ごして来た時間の厚みが信頼となり、ホッと和ませてくれる。復興の道のりはまだまだ長い。歌には希望があり、未来があると共に信じ合える空気がある。

imimのyoutubeチャンネル

 

いまできること取材班
写真:imim・youtubeより提供
文章:松原龍之

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