取材班による現地レポート

復興へのあゆみ vol.6 楽しみに待ってくれている人のために

2019.10.03

「美味工房みちよ」 河野美知代さん(写真中央)

楽しみに待ってくれている人のために

河野美知代さんが営む「美味工房みちよ」は、平成30年7月豪雨により増水した河川の被害に遭い、店舗や業務用冷蔵庫など設備のほとんどを失いました。太刀魚が旬を迎えるときに襲った豪雨。水も出ない、設備も使えない状態で営業不能を余儀なくされました。

店舗だけではなく業務用冷蔵庫などの設備も被災。

河野さんは発災直後に店舗に向かいました。そこで見た光景は、長年使い続けてきた店舗などが被災した無残な姿―。その場でしばらく座り込み、被害の大きさや自身の年齢を考え営業再開を諦めることを考えたそうです。それでも、楽しみに待ってくれている人のために続けたいと言う娘夫婦の後押しもあり、グループ補助金を活用して営業再開に至りました。

グループ補助金申請に必要な大量の書類。吉田公民館には、中小事業者を支援する窓口が設置された。

慣れない補助金の申請は娘夫婦が担いました。吉田公民館に設置された「産業復興支援室宇和島オフィス」に何度も通い、申請に必要な大量の書類を揃えたそうです。申請書の作成では、どの設備が被災してどの設備を購入する必要があるのか、また、被災前の使用状況や所有関係などを事前に整理する必要がありました。河野さんは被災した設備が多かったこともあり、書類をまとめるにも一苦労。今回の経験を通して、小規模事業者であっても普段から事業用設備などに関する書類を整理しておく大切さを学んだと話します。

3月に行われた復興イベント。家族一同で再開を報告。

美味工房みちよは、営業再開にあたり新しい挑戦も始めました。これまでは店頭販売のみでしたが、新しい店舗では食事を楽しめる席を設けました。「皆さんの支援がなければ再開にたどり着くことはできなかった。失った物も多いけれど、楽しみにしてくれている人への恩返しのためにも、10年、20年先もこの味を提供し続けたい」と河野さんは話してくれました。

美味工房みちよ
河野 美知代 さん(写真中央)

プロフィール
吉田町で20年以上にわたり太刀魚巻を販売。平成30年7月豪雨災害により店舗や設備を失う。グループ補助金を活用して店舗を新設し、営業を再開しました。

広報うわじま 10月号 No.171より
(令和元年10月1日発行)

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