現地のいまを知る

住宅支援に手続きサポート… 求められる支援も十人十色

2016.06.14

日本財団がおこなった生活実態調査によって、東無田・下原・島田・櫛島地区で在宅避難が多くいることが見えてきた。気候のよい春先であったため、広い庭先でテント生活ができたのだ。これから熊本には、激しい梅雨が、そして暑い夏がやってくる。内陸気候のために気温にも増して蒸し暑く、ゲリラ豪雨の心配もある。ただでさえ体調を崩してしまいそうな気候のなか、テントやビニールハウスで過ごすのはさらに過酷だ。

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メロン農家から譲り受けたビニールハウス。畳を入れ、足を伸ばして休むことができるが、昼間は中に入れないほどの暑さになる

「昼は39度にもなって、おられんくらいだけど、朝方は冷え込むけんね」と話すのは、宮永美信さん・淳子さん夫婦。自宅が全壊し、庭先に設けていたビニールハウスで生活をする、在宅ならぬ、“在庭”避難者だ。調査にうかがった5月中旬でも30度を超え、ビニールハウスをのぞかせてもらうと、ムンと熱気が顔を撫でた。自宅が全壊したため、トイレは近くに設置された仮設トイレと息子さんが購入してくれたポータブルトイレを利用。カセットコンロでお湯を沸かし、タライで行水することで、体の清潔を保っているそうだ。避難所に行けば、不便な生活も少しは改善されるのではないかと思ったが、「お父さんがいやがるけんね」と淳子さんは答える。集団生活は性にあわないという美信さんと一緒に、これからもビニールハウス生活を続けていくという。「1日も早く仮設住宅に入りたい。できれば家の近くに建つといいですね」と次なる行政の動きを待ちわびている。

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自宅前で家具店を営んでいた宮永さん。店舗も全壊し「もう店は廃業かな」とさびしそうに話す

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「ちょっとこっちにきて」と裏庭に案内されると、パックリと地面がわれていた。家と地割れまで3?4メートルほど離れているだろうか。もし家の下で地割れが起きていたらと想像すると、背筋がヒヤッとする。

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カメラを向けると「笑った方がいいのかな?」と笑顔を見せてくれた宮永さん夫婦

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今回の地震で一番の友人を失ったという増岡さん。ボランティアスタッフとのやりとりは、しばしさびしさを忘れる時間になったとか

「地震直後は悲しすぎて涙も出なかったけど、今日、話を聞いてくれてうれしかった」と目を潤ませた増岡孝子さん。4年前になくなったご主人がこだわって建てたという自宅は全壊し、現在は、近所のいとこ宅の庭先でテント生活をおくっている。「広い家でゆったり暮らしていたから、人が多い避難所はストレスがたまりそうで。犬もいるからね」と、本震後は愛犬と一緒に車中泊をしていたという。しかし、それも1週間が限度。足が痛みはじめ、医師に診てもらうと「エコノミークラス症候群予備軍」と診断された。

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がれきの撤去を待つばかりの増岡さん宅。次は、小さな平屋で、瓦を載せない家にするのだとか

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昼間は片付けのために自宅にもどるという増岡さん。ガレージにはゴザを敷いた上に座卓を置き、居間のような雰囲気に。座卓や本、服など大切なものは、片付けボランティアによりがれきの中から探してもらったそうだ

今、必要なものをたずねると、「もう頭の中がいっぱい」とポツリ。がれきの片付け、仮設住宅の申請、自宅の建て直しの計画…。もとの生活を取り戻すためには、自分で決めなくてはならないことが続々とでてくる。「いろんな手続きを一緒にやってくれるひとがいればいいんだけど」。煩雑になりがちな各種手続きにも、人的サポートが必要だ。

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東無田公民館には無料で使用できる洗濯機を設置。「洗濯物?がれきの中から見つけてくれたお手製のレースのテーブルクロスです」と笑顔を見せてくれた増岡さん

いまできること取材班
文章:廣木よしこ
撮影:長谷和仁

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