現地のいまを知る

これまで通り働けるのか… 仕事の再建が大きな不安に

2016.06.23

益城町の中心部から、県道28号を西へ向かうと10分ほどで福富地区にたどりつく。ここは一軒家が軒を連ねる住宅地。集合住宅もある。県道28号沿いの建物も深刻な被害を受けていたが、1本南へ入ると、さらなる惨状が広がっていた。

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1階部分がつぶれたアパート、隣家に寄りかかるように倒れた家屋、がれきの山…。道路には亀裂が入り、水が噴き出しているところもある。

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アセスメント(※1)を運営する本部によると、県道28号線と、その南側を流れる木山川に挟まれたエリアの家屋倒壊率が特に高いという。

炎天下の中、家の片付けをしている男性に出会った。「平日は日中が仕事で、夜は知人に借りたアパートで避難生活。だから、週末しか片付けができないんですよ」住まいも勤務先も益城町という今村真一さんだ。地震発生時の状況について尋ねてみた。

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「前震から一夜明けた4月15日は職場に行けず、家の片付けをしていました。 午後から同僚が手伝ってくれたことである程度片付き、夕方には電気もついたんです。それで安心しましたね。でも、やっぱり不安もあったのでグランメッセ(※2)の駐車場で家族と車中泊しました。そうしたら16日、本震が発生して…。夜明け前に会社の様子を見に行くと、非常ベルが鳴り、水漏れもしていて。外から見ただけで“ヤバい”と思いました」その後、会社の連絡網により、“自宅待機”の指示が回ってきたという。

現在、今村さんが勤める会社の設備は9割ほどまで回復し、仕事への支障はなくなったという。とはいえ、不安を払拭できないのが現実だ。

「会社が動き出しても、震災前と同じぐらいの仕事があるか分からない。働ければ、自分で稼いで生活を再建していけるが仕事自体がなければ、どうしようもない。全国から益城町の会社に仕事を依頼してもらうなど経済的な支援もぜひ検討してほしい」いま必要としている支援について、今村さんは言葉に力を込めて話してくれた。

仕事をして、収入を得て、生活を立て直したい。その意欲があっても、“仕事”自体がなければ、先へは進めない。それどころか、希望の芽を摘んでしまうことになるだろう。経済活動の支援は、きっと自立のキッカケにつながるはずだ。

※1:生活実態調査のこと。今後の災害関連死に歯止めをかけるため、在宅・在庭避難者の実態調査、要援護者の把握と支援マッチングを行う全戸調査が益城町で実施された。

※2:正式名称は『グランメッセ熊本』。益城町にある産業展示施設。

フォトギャラリー

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今村さんの自宅。建物自体は持ち堪えたが、地盤や基礎部分に大きな傷跡が

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住宅密集地なので、隣家の飛散物で損傷を受けたケースも

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ブロック塀の倒壊を防ぐために、つっかえ棒をしている場所も

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道路も家屋も激しく損傷。電柱も斜めに傾いている

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通るのをためらうほどの危険な場所が、まだある

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道路の脇に寄せられた家財。プロパンガスのボンベがそのまま置かれていた

いまできること取材班
文章:高野正通
撮影:長谷和仁

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