現地のいまを知る

「夜、ひとりで寝られなくなった」 子ども、親にのしかかる不安と負担

2016.06.27

益城町の中心部から、西へ10分ほどの場所にある福富地区。一軒家が軒を連ねる住宅地である。被害の爪痕はすさまじく「大丈夫な家を探す方が難しい」というのが、リアルな印象だった。

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取材中、倒壊家屋の解体作業を行っていた豊田健志さんに出会った。

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「我が家は無事でしたが、目の前にあった両親の家が倒壊しました」豊田さんの自宅は築15年、阪神・淡路大震災以降に定められた耐震基準を満たす構造のおかげか、家屋自体に損傷はほとんど見られないという。一方で、ご両親の家は古く、地震の衝撃に耐えることができなかった。そこで、この日は知り合いの業者に依頼し、家族総出で片付けを実施。現在、ご両親は向かいにあった納屋を改造し、そこで応急的に暮らしている。

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生活の再建、両親の住まい…。これから先のことを考えると、心配は尽きないという豊田さん。もうひとつの大きな気がかりとなっているのが、中学2年、小学6年、小学1年の3人姉妹の子どもたちのことだという。

「地震以降、長女は夜にひとりで寝られなくなってしまいました。地震への恐怖心は、今だに消えていません。それに、学校は5月9日に再開しましたが通学路にはまだ危険な場所がたくさんあり、子どもたちは気軽に遊びにも行けずストレスや不安を抱えたまま過ごしています」奥様の祐佳里さんはそう言って、厳しい現状に表情を曇らせた。

いま、子どもや子育て世代の親へ、どんな支援ができるのだろうか。「安心して遊べる場所や見守ってくれる人たちなど子どもが元気に過ごせるための支援があれば、とても助かります。私たち大人も、復旧活動にもっと力を注げるはずです」そう祐佳里さんは話してくれた。

地域が活気を取り戻すために、子どもたちの笑顔は欠かせない。心のケアのためにも安全に、気軽に遊べる環境がひとつでも多く必要なのだ。

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外で遊ぶどころか、子どもが道を歩くだけでも危険な箇所が多くある

取材中、豊田さんからふいに出た言葉が、今でも忘れられない。「地震から日が経つにつれて、同じ熊本県民でも、被害が大きい地域に住んでいる人と小さい地域に住んでいる人では、意識の差を感じるようになりました。すでに復旧している人たちには、何だか自分たちの状況を話しづらい」同じ県内でも、温度差は生まれている。県外では、なおさらだろう。被災地のリアルを、まだまだ届けていきたい。

いまできること取材班
文章:高野正通
撮影:長谷和仁

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