現地のいまを知る

本震から4日後に再開。和菓子の甘さで避難生活こころをいやす

2016.07.06

益城町役場の周辺一帯に形成される町の中心部。熊本市からつづく県道28号がメインストリートになり、惣領・馬水・安永の沿道には大型スーパーやコンビニエンスストア、さまざまな飲食店、病院などがならんでいる。しかし、熊本地震でほとんどの店舗が被災。震災から1ヶ月半経っても、営業再開する店はまばらだ。

_MG_2793

_MG_2791

(上・下)益城町のメインストリート県道28号沿いの商店。遠方から訪れるほどファンも多い中華料理屋や洋菓子店も、ひっそりとたたずんでいた

_MG_2798

大型スーパーも休業中。ドラッグストアやディスカウントストアは営業を再開しているが、生鮮食品の購入に一苦労している

_MG_2794

_MG_2795

(上・下)休業をお知らせるはりがみ。どの店も再開のめどがたっていない

建物が倒壊した店、シャッターを下ろす店…。人気のない店先で「再開のめどがたたず、しばらく休業いたします」のはりがみを見ると、町の再生はまだまだ先だということを実感させられた。在宅避難世帯との話の中でも、ライフラインの復旧後、自炊ができるようになっても生鮮食品の買い物が不便という声が聞こえてきた。再開したスーパーは1軒あるが、買い物客が集中しすぎて駐車場がいつも混雑しているという。また、大型冷蔵庫が地震でこわれてしまったためにまとめ買いができず、毎日、熊本市内まで買い物にでかけているというひともいた。「日々の食事は自分たちでまかないたい」という気持ちがあっても、環境が整わないという現実があった。

そんな中で、店先で湯気を立ててまんじゅうを蒸す店舗を見つけた。熊本県下に16店舗を展開する「一休本舗」。熊本ではなじみ深い和菓子の店だ。

_MG_2509

「なにか買いたくなるね」とショーケースにならぶ和菓子をまえに顔がほころぶ調査スタッフ

_MG_2512

店先での聞き取り調査にもこころよく対応してくれた渡辺和子さん

「運良く店舗は無事で、水道も電気も使えたので4月20日から店を開けました。ただ、パートさんが被災して。72歳と高齢なので心配ですね」とは従業員の渡辺和子さん。お客さんにサービスで出しているお茶を取材班にもすすめてくれ、接客のあいまにインタビューにこたえてくれた。
渡辺さんは熊本市南部の城南町に住んでいる。車で通勤できているが、益城町在住の同僚は避難生活のために休職。他店からのスタッフが応援にかけつけ、毎日店を開けることができているのだという。

_MG_2519

店舗に並ぶのは、熊本名物のいきなり団子やみたらし団子、どら焼きなどなど。なかでも甘酒まんじゅうは店先で蒸し上げられ、出来たてが食べられるのが喜ばれているそうだ。
「り災証明(※1)などの手続きや片付けなどで忙しい日を送っている人が多いと思います。こんな時にまんじゅうなんて食べなくてもいいもの。でも、甘い物を食べるとホッとすると買っていかれます。お見舞い用という方もいらっしゃるから、がんばって店をあけないとね」と笑顔で答えてくれた渡辺さん。1日も早く、甘い物をたのしめるこころの余裕が生まれること願っていると話してくれた。

※1:火災・風水害・地震などで被災した家屋や事業所などの被害の程度を証明する書類。市町村が自治事務として現地調査を行い発行するもので、全壊・大規模半壊・半壊・一部損壊・全焼・半焼・床上浸水・床下浸水・流出などの区分で被害の程度を認定する。被災者生活再建支援金や災害復興住宅融資などの被災者支援制度の適用を受けたり、損害保険の請求などを行う際に必要となる。

いまできること取材班
文章:廣木よしこ
撮影:長谷和仁

現地のいまを知る