現地のいまを知る

「部活の思い出を守りたい」現役大学生たちの支援活動

2016.10.17

熊本地震発生の翌日に発足した一般社団法人『チーム熊本』(詳しくは6月28日の記事参照)。「炊き出しチーム」「物資配送チーム」などセクションを設け、熊本の大学生たちをそれぞれのリーダーに任命し、活動を行っていた
物資を必要とする人、物資を送りたい人の「電話対応チーム」のリーダーとして支援活動を行っていたのは、東海大学熊本キャンパスに通う小笠原晟一さん。その活動と並行して、彼は被災した小中学校へバスケットボールとゴールを寄贈する支援活動も行っている。

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東京から熊本へ進学した小笠原さん。大学のサークルでは、地域を盛り上げるための商店街復興といった活動を行っているという

「6月にWINg kumamoto(ウイング・クマモト)という支援チームを立ち上げ、活動を始めました。キッカケは『チーム熊本』で物資支援をしていた時に、ある小学校で体育館が被災して使えず、子どもたちがバスケットボールをできないでいるという話を聞いたこと。それで、バスケットボールを集めて支援しようと考えました。さらに、こういう状況の小中学校が他にもたくさんあるのではないかと思い調べたら、100校近くもあったんです」と小笠原さんは当時を振り返る。

携わるメンバーはわずか4人。使わなくなったボールやゴールを寄付してもらえるよう呼びかけたり、新品を購入するための支援金を集めながら、被災した小中学校へ直接届けている。「現在15校ほどに物資を支援することができました。ですが、まだまだ大変な学校はたくさんあります。引き続き活動を続けて行きます」と小笠原さんは前を向く。

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『WINg kumamoto』が寄贈したバスケットゴール

授業とボランティア活動の両立。さらに、独り暮らしという環境。決して楽ではない日々を支える原動力は何なのだろうか?
僕も高校時代はバスケットボール部でした。その時の仲間は、今でもすごく大事な存在。きっと一生の友だちです。そんな宝物を手に入れられる部活動という機会を、地震で失わせるわけにはいかないと思ったんです。ボールとリングさえあれば、バスケットボールはできる。その環境を整えてあげたくて」。

10月13日、菊池郡大津町にある大津小学校へ物資を届けるというので、同行した。同校は地震の影響で体育館の壁が崩落し、現在も使用できない状況にある。なお、物資を支援する際には、熊本のプロバスケットボールチーム『熊本ヴォルターズ』と連携し、プロ選手やコーチたちによるバスケットボール教室も同時開催しているという。

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大津小学校ミニバスケットボール部の子どもたちと一緒に。この日、たくさんの笑顔が咲いた

子どもたちのキラキラした笑顔を見ると、これからもがんばろうって思います。そのためにも、ぜひ支援金の協力をお願いします。部活動より生活再建の支援の方が先だという意見はもっともだと思います。でも、学生時代の部活動をしていた時のことを思い出してください。その経験は、今すごく大きいものになっているはずです」。

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小笠原さんたち『WINg kumamoto』のメンバーも、バスケットボール教室を子どもたちと一緒に楽しんでいた。「子どもたちの笑顔を見ると、僕たちも元気になります!」

9月、東京へ里帰りした時に小笠原さんが感じたこと、それは被災地との“温度差”。メディアでの報道は少なくなっており、家族、友人との会話でも、話題にもあまりのぼらなかったという。
熊本地震から半年。取材を続けて思うのは、被災地の復興にも“温度差”が出てきたということ。復興へと進む地域があれば、6ヵ月前とほぼ同じ状況という地域もある。被災地のリアルな状況を知るためには、情報を自ら取りに行くこと重要だ
『WINg kumamoto』の活動はブログで発信中。支援も受付中だ。
被災地で暮らす人たち、支援する人たちのことを、自分に置き換えて考えてほしい

 

いまできること取材班
文章・撮影:高野正通

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