日本IBM、サノフィ株式会社

企業がいまできること② 被災地を歩いて見えてきたもの

2016.06.03

4月14日夜に前震、16日未明に本震と続いた「平成28年熊本地震」からひと月以上が経った5月下旬。東京都に拠点を置く「日本アイ・ビー・エム株式会社」と「サノフィ株式会社」から、それぞれ1名の災害支援担当者が、被災地・熊本を訪れた。2日間の予定で組まれた視察の目的は、「企業として、被災地のために、いま何ができるのか」を考えること。担当者が見た被災地の現状、そして今後、企業が取り組むべき支援の内容とは―。視察の初日に密着した。

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5月26日(木)
9:00 熊本県庁(熊本市中央区)

ピースボート災害ボランティアセンター(以下、PBV)」(※1)の担当者より、被災地の状況説明

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(写真左から)東京から視察に訪れたサノフィ株式会社の本山聡平さん、日本アイ・ビー・エム株式会社の小川愛さん、視察の窓口となったPBVの田山圭子さん、上島安裕さん

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PBVの事務局長、上島さん(手前右)の説明に熱心に耳を傾ける本山さん(左)と小川さん(中央)

11:00ごろ グランメッセ熊本(上益城郡益城町)

このたびの熊本地震で、最大震度7の激震を2度にわたって記録した、益城町。九州自動車道「益城熊本空港IC」に隣接する「グランメッセ熊本」は、産業展示場として普段は多くのイベントが行われる施設。現在、室内は地震の被害により、閉鎖。2200台収容の大型駐車場のみが開放され、今なお多くの避難者が車中泊やテント泊での生活を送っている。救援物資の配布のほか、5月20日からは「り災証明」(※2)の発行も開始した。益城町役場が損壊したため、グランメッセの駐車場に発行窓口となる特設テントが設置されているようだ。

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グランメッセ熊本で支援を行うPBVのスタッフ(中央)と合流

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避難者をはじめ、地域住民の憩いの場となっている無料のカフェブース。子どもが遊べる遊具も設置。「避難生活が長引いている方々の心のうちを、お茶を飲みながら話すことで、不安を和らげたり、ストレスを発散したり、そんな場所になれば」と、スタッフは話す。会話のなかで自然と笑顔がこぼれる住民もいるが、実際には、家が全壊したという人も少なくない。

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同敷地内では、車中泊やテント泊を余儀なくされている被災者へ向け、トレーラーハウス、キャンピングカーの無償貸出がスタート。貸出には条件があり、乳幼児がいる世帯、高齢者、障がい者などが優先される。梅雨入りを前に、高温多湿な熊本特有の気候が、避難生活者に追い打ちをかける。取材の日もすでに気温は30度を超え、クーラーがないとじっとしているのがつらいような状況であった。熱中症やエコノミークラス症候群などを防ぐ意味でも、住環境の改善が急がれている。

12:00ごろ 広安小学校(上益城郡益城町)

益城町の主要な避難所のひとつ「広安小学校」では、PBVが運営サポートに入り、ボランティア活動を支援。取材したときは、体育館や運動場(車内避難)を合わせ、約160名の方が避難生活を送っていた。校舎ではすでに授業が再開され、それまで教室に避難していた人たちが体育館へ移動していた。

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段ボールベッドが置かれた体育館。床から少し高くなることで、ほこりの多い足元との距離が保て、衛生面にも効果がある。プライバシーの面では、間仕切りのカーテンが引かれ、世帯ごとに分かれたスペースになっていた。昼間はなるべくカーテンを開け、換気をよくする工夫もされている。

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体育館の外には、子どもの遊び場や食事スペースとして使える大型のテントが張られ、健康体操やギターの演奏会など、ボランティアによる催しが開かれることも。食事は、コンビニエンスストアの協力で、朝400食、昼700食、夜750食(取材時点)の支援があり、被災住民自らが配給を行う姿が印象的。避難所生活が長引く人々にとって、運動不足や衛生面などに加え、おにぎりやパンなどが中心となる食事での、野菜不足による健康への影響も懸念される。

13:00すぎ 熊本市災害ボランティアセンター 城南・富合サテライト(熊本市南区)

災害ボランティアセンターの本部(熊本市中央区花畑町)を拠点に、全市へボランティアを派遣していたが、視察の10日ほど前に熊本市南区の城南・富合地区にサテライトが立ち上がる。高齢者が多い地域ということもあり、室内の片付けや清掃、屋根瓦・ブロック塀などのガレキ撤去、災害ごみの搬出など、ボランティアの人出が求められていた。

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熊本市災害ボランティアセンター「城南・富合サテライト」

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被災者宅で被害状況の説明を受ける企業担当者

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被災者宅でのボランティア活動の様子

気温30度を超える過酷な環境のなか、汗だくになりながらのガレキ撤去。水分補給を心がけているとはいえ、体力の消耗が激しいことがうかがえる。これからの時季、熱中症対策も必須だ。

15:30ごろ 益城町役場(上益城郡益城町)

徒歩にて役場の周辺エリア(木山地区)を視察

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災害対策本部が置かれた益城町役場(写真奥)が被災。庁舎全体が、一時立ち入り禁止に。その後、中心部にある避難所で住民向けの一部の業務を再開していたが、5月17日から公民館へ臨時窓口を移し、業務のほぼすべてを再開している。

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益城町の木山地区(役場周辺)では、地盤が崩れ、多くの建物が倒壊。町の中心地であるにも関わらず、ガレキ撤去など、いまだ手つかずの状態だ。

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二度にわたる、震度7の激震のすごさを物語る現場。住宅の倒壊をまぬがれていても、地盤そのものが崩落している。今後の梅雨や余震により、倒壊の恐れもある。町中で全壊した住居や陥没した道路など、傷跡が残されたままの状態を確認できる。

取材班の同行はここまで。現場の視察を終えた企業の担当者は、「益城がんばるもん会議」、「熊本地震・支援団体火の国会議」へ参加された。

「企業がいまできること? 災害支援担当者が考えるこれからの動き」に続きます。

※1:国内をはじめ海外でも災害救助の実績があり、熊本地震発生後、すぐに現地に入り、災害ボランティアセンターの運営サポートや、地元NPOと全国の支援団体をつなぐ役割を果たし、活動を行っている団体。

※2:住家が自然災害により被災した住民に対し、申請に基づき住家の調査を実施し、その結果に応じて発行される証明書。「全壊」「大規模半壊」「一部損壊」などがあり、その区分により受けられる支援制度が異なる。

いまできること取材班
文章:稲積清子
撮影:長谷和仁

6月3日 2016

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