現地のいまを知る

企業のチカラを、被災地・熊本に。③「日本アイ・ビー・エム株式会社」のボランティア活動

2016.07.13

5月下旬、「日本アイ・ビー・エム株式会社」が、被災地の視察に訪れてから、およそ一カ月。社内調整も無事終わり、7月2日(土)・3日(日)と、9日(土)・10日(日)の2週連続で、ボランティアを派遣することが決定したと聞き、早速、現地取材へ。

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色違いのつなぎスタイルで東京からやって来た、アメフト部のメンバー

【第一陣】東日本の支援で、伝説となったアメフト部の活動

アメリカンフットボール部のメンバー6名が向かったのは、阿蘇郡西原村小森地区にある河口公一さんと美千子さん宅。東日本大震災後の支援活動でも活躍したアメフト部は、ボランティアを運営するスタッフたちから“伝説”といわしめたほどの存在だという。
今回活動した河口さん宅は、農産物直売所『萌の里』からほど近いエリア。熊本市内から西原村へ向かう主要道路が寸断され、近隣の飲食店などはほとんどが営業を断念。ご夫婦が暮らす住宅地も、地震による地割れや地盤沈下がひどく、半数の住民がいまなお避難生活を送っているそうだ。そんな中、6月下旬から西原村に降り続いた大雨の影響で、自宅裏の土砂がくずれ、倉庫が崩落の危険に。「ようやく余震が収まってきたと思ったら、今度は雨と雷の恐怖。今回は、ボランティアの方がきてくださるというので、神さま以上に頼りになる存在だと感謝しています」と奥様。

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倉庫が建つのは、家の裏手の限られたスペース。重機が入り込めないため、人の力だけで、安全な位置まで移動するという計画。人間だけでやっているとは思えないほどのパワフルさで、倉庫をあっさりと移動。その後、屋根に登り、雨よけのブルーシートをかぶせる作業までお手のもの!

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午後からは場所を移動し、土のうづくり。午前中の疲れを微塵も感じさせず、300個をわずか30分ほどで作り終えるメンバー。その驚異のスピードと、スポーツマンらしい明るい現場に、IBMアメフト部の底力を実感

IBMの社会貢献担当・髙良理さんへ話をうかがいました

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今回、現地へ来るまでの調整は?

髙良さん 5月末の視察でヒアリングしたニーズをもとに、「ピースボート災害ボランティアセンター」の方に、弊社の社員にできることを探していただきました。体力的な作業があるという話でしたので、アメフトとラグビーの2つの部へお声掛けをし、快諾を得ました

今後の支援は?

髙良さん まず、今回の西原村での活動を振り返ったあとで、「ピースボート」側と相談していきたいですね。弊社では、東日本の震災以降、つながりができた福島の地域と協力し、“企業マルシェ”というものを年3回ほど企画しています。福島の農産物を、社員に見て、知って、広めてもらうことが目的なんですが、こういった東京にいながらできる活動を考えていきたいですね。

支援活動で、課題に感じることは?

髙良さん 社員一人ひとり、何かしたいという思いはあると感じます。でも、現地支援に行けない社員も中にはいて…。そういった点で、遠くからでもできる活動を模索していきたいですね。4月には、社員から給与控除による義援金を募りました。それに社員1,900余人ほどが賛同してくれましたので、そこで集めたお金を日本赤十字社へ募金しました。

【第二陣】現役選手のパワーが発揮されたラグビー部の活動

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一日の作業を終え、泥だらけの姿でガッツポーズする部員たち

ラグビー部の現役選手5名は、この日、2班に分かれて活動を行っていた。西原村小森畑地区の永田悦郎さん宅では、地震で家が全壊。周辺の家も地盤が崩れ、家屋が大きく傾いたままだった。「わが家は、家族で農業を営んでいますが、田んぼの手入れもままならない状態ですね」と現状はまだまだ深刻のようだ。

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永田さん宅の石垣が崩れ、川に落ちて埋まったままの石材を取り除く作業。重機だけではむずかしい作業を、ラグビー部の面々がサポート。重さ50kgはゆうに超えるであろう石材を、軽々と重機へ移動

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石材の集積所の地面がぬかるみ、トラックが動けなくなった場面でも、持ち前のパワフルさを発揮。一人何役もの作業をこなしていた

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この日、重機とラグビー部の連携プレーで、多くの石垣が撤去された

ボランティア参加者の声

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アメフト部OBで、ボランティア班リーダーの國方雄大さん。「いまだに復旧が進んでいない場所がありながらも被災地の方が明るく、前向きな姿勢でいらっしゃることに胸が熱くなりました。自分たちがやったことを、喜んでもらえて何よりです」

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アメフト部OBの吉津充晃さん。「出身が熊本の山鹿市なので、地震のニュースを見たときは驚きました。今回、アメフト部やラグビー部だからこそできる力仕事を期待してもらえ、少しでも力になることができてよかったです」

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ラグビー部の月野鉄平さん。「人吉市に親戚がいるので、熊本地震は他人事ではなかった。ラグビー部としてチームワークを活かして支援ができること。そして、会社のサポートの下で活動ができることをありがたく感じます」

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ラグビー部の度會拓也さん。「父親が自衛隊で働いている姿をずっと見てきました。今回、自分にできることを何かしたいという思いでここに来ました。被災地を見て、人の手がまだまだ必要なのだと感じました」

2週連続で熊本での支援活動を行ったIBMは、これまでも全世界のネットワークを通して、社会貢献活動に取り組んできている。社会とのつながりのなかで、企業が存在していることを考えると、地域のボランティア活動に積極的に貢献しているIBMの取り組みは、きっと多くの企業にとって手本となるだろう。社会貢献活動の輪がたくさんの企業に広がっていくこと。つまりそのことが、被災地に明るい復興の兆しを運んでくる、大きなきっかけになるのだ。

いまできること取材班
文章:稲積清子
撮影:長谷和仁

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