現地のいまを知る

企業のチカラを、被災地・熊本に。④「サノフィ株式会社」のボランティア活動

2016.07.26

熊本地震発生から3カ月。被災地では、いまなお企業からの善意により、積極的なボランティア活動が続けられている。去る7月17日(日)、18(月・祝)の2日間、熊本県益城町の広安小学校避難所で活動を行ったのは、東京に本社を置く「サノフィ株式会社」の社員10名。現地のいま、そしてボランティア活動の1日に密着した。

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会社のロゴが入ったTシャツを着て、熱心に打ち合わせを行うサノフィの社員たち

サノフィ株式会社といえば、熊本地震発生後の5月下旬。災害支援担当者の本山聡平さんが、この益城町へ一度視察に訪れている。そこで見た現地の様子を会社の役員会議で報告し、熊本の復興支援計画の承認を取ったうえで、ボランティアの参加者を募り、この日に至ったそうだ。
「前回、視察に来てから初めての現地支援となります。今日は、ここ広安小学校避難所の運営サポートを行っていらっしゃる『ピースボート災害ボランティアセンター』(PBV)のコーディネートの下でしっかりと活動を行います。また、8月と9月にも熊本へボランティアを派遣する計画があります」(本山さん)。

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二班に分かれての活動。チームワークを生かし、声を掛け合いながらの作業が続いた

この日は、まず小学校のグランド整備から。地震直後、多くの避難者がこのグラウンドで車中泊をしていたため、土が盛り上がり、凸凹に波うっていた。それがようやく、車の数が当初の3分の1ほどに減ったため、きれいに整地して、駐車スペースを縮小しようという計画だ。

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凸凹のグランドのままでは、子どもたちの学校生活にも支障が。整地が急がれてはいるものの、そこには人手不足の問題や、天候の影響も

前日からの雨が朝方まで続いたおかげで、グランドの土はある程度、掘り起しやすい状態になっていた。ところが、掘り起こしていくと、それは表面だけというのが判明。じつは、車が何度も出入りしたことで、下の方の土はコンクリートのようにガチガチの硬さになっていたのだ。「梅雨が明けてしまったら、グラウンド整備はもっと過酷ですよね」と心配そうな面持ちで、作業を進める社員たち。

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地震後は、グランドの真ん中に畳で道を作り、児童の登下校に活用されたそうだ。この日、駐車場のスペースを縮小するにあたり、これも撤去

午後からは、避難所である体育館に場所を移し、今後の暮らしに関する意向調査のヒアリングが実施された。サノフィ社員が二人一組になり、被災者ひと世帯ごとに話を聞いていくのだが、3カ月もの間、避難所生活を続ける人たちへ配慮して、現地を運営するボランティアスタッフから、「あまり神妙な面持ちにならず、できるだけ被災者の方がリラックスしてお話ができるよう、笑顔で接してくださいね」とアドバイスが。

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地震後800名ほどいた避難者の数は、現在150名ほどに

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世帯ごとに区切られた体育館内。意向調査では、住民の被害状況や、今後の住まいのことについてヒアリングが行われた

ボランティア活動に同行した、サノフィの災害支援担当・本山聡平さんへ話を聞きました

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―今回、社員の皆さんへ会社からはどんなサポートがありましたか?

本山さん 飛行機や新幹線など片道の交通費、熊本市内の移動にかかる交通費、3000円の宿泊費の補助、それにボランティア保険が当社の負担です。

―3カ月連続の支援ということですが、8月・9月に向けての計画は?

本山さん 我々は製薬会社ですので、「人々の健康と笑顔に貢献する」というビジョンにちなんだ活動も、今後の2カ月はやっていきたいですね。避難所生活が長くなってくると、どうしても食生活の面で栄養の偏りが気になります。その辺りを支援できるような活動ができればと考えています。

―企業でのボランティア活動を行うにあたって、課題に感じることは?

本山さん まず一つは、現地のリアル感を伝えるのが難しいと感じます。益城町では、倒壊したままの家がまだ残されているし、ボランティアのニーズがいまもあるけど、東京では報道も減り、現地の情報が少なくなってきています。 二つ目は、CSRとして、企業が社会に対して果たす責任を考えると、社内だけの活動にとどめず、社外の人にもしっかりと伝えていかなければいけない。東日本大震災から5年が経ち、企業が災害に対してサポートしていこうという熱も少し冷めかけているような気がしますしね。いつ首都直下地震が起こるとも限らないし、災害が起こり得る日本に住んでいる以上、実際に被災地へきて、災害のおそろしさを自分の目でみて、被災された方の思いを感じることが重要だと感じますね。

●ボランティア参加者の声

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東京本社から来ていた村木祥文さん。「東北のボランティアには6~7回ほど参加しました。個人でボランティアをやるには、勇気もお金も必要になりますが、会社のサポートの下で参加できるのは、心強いですよね。支社の社員たちと親睦が深められるのもいいと思います」

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鹿児島支社から参加の芝原かおりさん。「熊本出身の上司をはじめ、身近な人から熊本の様子を聞いたり、写真で見せてもらったりしたので、現地の人の役に立てるならうれしい。午後からの意向調査では、被災者の方の前向きな気持ちに心を打たれました」

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広島支社から参加の西田圭吾さん。「熊本には、はじめて来ました。去年9月に広島でも土砂災害があったので、他人事ではないですね。ボランティアとして、被災地のために自分にできることをがんばりたい」

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グラウンド整備では汗だくになりながら積極的に身体を動かし、被災者への意向調査では、親身になり、ていねいにヒアリング活動を行ったサノフィの社員たち。3カ月にわたって続けられる支援活動は、地震の日から時計の針が止まってしまったままの被災者の心にあかりを灯し、復旧・復興をしっかりと加速させることだろう。企業のボランティアを自社の動きだけにとどめず、もっと広く、浸透させていくことが何より重要だと感じた。

いまできること取材班
文章:稲積清子
撮影:長谷和仁

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