現地のいまを知る

モデルにしたい支援のカタチ。企業と現地支援者との連携②

2016.09.09

9月7日の記事『モデルにしたい支援のカタチ。企業と現地支援者との連携①』の続きとして、今回は実際に支援活動が行われた2日間の様子を紹介

その企業とは、大手家電メーカー『ハイアール現地支援者は『生活協同組合連合会グリーンコープ連合』常務理事で、『グリーンコープ災害支援センター』統括責任者の村上省三さん。そして、国内外の被災地で支援活動を行ってきたという服部浩之さんだ。「企業」と「被災地で活動する人・団体」の二者が手を取り合うことで、スムーズに、“手から手へ届ける”という支援が実現した今回。そこには、さまざまな工夫と思いやりの心があった。

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仮設住宅へ支援物資を届ける『ハイアール ジャパン セールス』の桑野さん(左)と村上さん

9月1日午後、熊本県合志市の倉庫に、2台の大型トラックが到着した。積み荷は、『ハイアール』からの支援物資である家電製品約160品。今回の支援活動を担当する『ハイアール ジャパン セールス』の桑野広志さん、そしてグリーンコープのスタッフと服部さんが、手早く積み荷を降ろし、種類毎に整理して行く。家電製品の外箱には、すでに送り先の施設名が貼り付けられていた。

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福岡にある『ハイアール』の倉庫から物資を輸送してきたトラック。物資の拠点となった倉庫は村上さんが準備した

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160品の荷下ろし作業が迅速に行われた

「事前に村上さんから“どこの施設に、どの家電を、どれだけ支援してほしい”という要望をいただいていました。そこで、福岡の倉庫に支援物資を集めた際に、スタッフが各物資に送り先を貼り付けました現場での手間を減らし、混乱を防ぐために、できる限りの準備は済ませておきたいと思って」と桑野さん。このニーズの事前調査はとても重要で、これにより物資が種類によって供給過多になったり、足りなかったりということを防ぐことができる。また、荷物が着いたときには、その送り先も一目瞭然なので、個数の確認作業もスムーズだ

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家電製品一つひとつに届け先が貼り付けられていた

今回は配送以外に、物資を直接受け取りに来る被災者の方々がいた。村上さんと服部さんが事前に連絡し、段取りしていたという。
「ちょうどこれから仮設住宅へ引っ越しするので、本当に助かりました」と笑顔を見せるおばあちゃん。桑野さんの手から被災者の方々の手へ、支援物資がおくられた

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倉庫で物資を受け取り、お礼を伝える被災者の方々

翌日は、朝9時から活動開始。トラック2台で送り先へ配送するというので、1台に同行することに。最初の届け先は、益城町にある赤井仮設団地。村上さん、服部さんの案内で、支援物資が次々と運ばれていく。玄関先まで届け、場合によっては中に入って設置まで。この丁寧な対応により、誰に、いくつの物資が行き渡ったか、さらには現在の暮らしぶりまでを確認することができる。それは今後の長期的な支援を考えた場合、とても重要なことだと感じた

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「被災者のゴミの負担を減らしたい」と、玄関先で梱包材を外すことも。細やかな配慮だ

「家電製品がなく、仮設住宅での暮らしをスタートできていませんでしたが、これで新しい生活が始められます」と支援を受けたご主人

「家電製品がなく、仮設住宅での暮らしをスタートできていませんでしたが、これで新しい生活が始められます」と支援を受けたご主人

次の届け先は益城町役場。役場職員が被災者への配布を行ってくれるという。行政との連携も、村上さんと服部さんの事前準備のおかげだ。その後は益城町の小池島田仮設団地へ移動し、談話室で自治会長に支援物資を渡し、最後に同町の飯野小仮設団地へ届け、今回の活動は終了した。

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役場内には、仮設住宅への支援物資が集められていた

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島田仮設団地の談話室にて。自治会長(真中)と住民から、感謝の気持ちが伝えられた

桑野さんに今回の支援活動の印象を聞いてみた。
「実際に被災地を見て、復旧にはまだまだ時間がかかると感じました。今後の支援のためにも、今回の活動については会社にしっかりと報告します。支援活動を継続していくためには、みんなを巻き込んでいくことが重要だと思いますから。それに、企業の特長を生かした支援は、被災地の大きな力になれると感じました」。

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「物資をお渡しした方々の嬉しそうなお顔を見ることができて良かったです」と桑野さん

支援拠点と輸送を担った村上さん。
「私たちグリーンコープは地域住民の生活に密着しているので、その地域のことはよく分かっているつもりです。だから、ニーズを聞けるし、配送もできます」。
村上さんたちの強みを生かしたことで、細やかな支援は実現できたといっても過言ではない。

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「生協の仕事は“地域づくり”。地域の人たちが生活しやすい環境を整えていくことが生協の仕事です。だからこそ、こういう時に頑張らないといけない。物資の支援だけでなく、避難所でイベントを行うなど、地域のコミュニティーづくりにも取り組んでいます」と村上さん

その両者をつないだのが、服部さんである。
「特別難しいことをしたわけではありません。僕にできないことを『ハイアール』さんや村上さんにお願いしただけなのです。できない部分をできる人に任す、またはそういう人や企業とマッチングさせることで、より大きなチカラが生まれます」。

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被災地と被災地をつなぐ活動も行っているという服部さん。「熊本県西原村の被災した農家さんを東北や茨城県常総市、広島県へ連れていきました。被災者同士だからこそ分かる気持ちがあります。そういったパートナーシップは、これから大切になると思います」

いま必要なのは、まさにそういった支援のカタチではないだろうか? 企業と現地支援者が交わって、足し算ではなく、かけ算ほどの大きなチカラになる。そんな場面を目の当たりにした。
「何かできないか」
そう考えている企業の方がいれば、まずは「支援します」という声をネット上でもいいので発してほしい
現地で支援活動に当たる方々、すでに声を発しているかもしれないが、息長く全国へ支援を呼びかけてほしい
そして、2者をつなぐためにも、支援情報や被災地情報にアンテナを張っておく。それは多くの人たちがいまできる、重要な支援のひとつだ。

いまできること取材班
文章:高野正通
撮影:高野正通・柳瀬武彦

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