現地のいまを知る

東京でいまできること。「復興バー」が続けるおいしい支援のカタチ

2016.11.15

木枯らし一号が吹き、冬の訪れを肌で感じる東京・表参道で、11月7〜11日の5日間、復興応援イベント「復興バー」が開催された。東日本大震災をきっかけに始まったこのイベントは、2013年から毎年行われ、今年で第4回を数える。今回は表参道のイベントスペース「TRUNK(HOTEL)開業準備室」で開かれた。

15073307_1182533258467896_5881406876122834637_n

会場は表参道駅からもほど近い。階段を降ると、復興バー至上最大規模のスペースが広がる。

「復興バー」では日替わりマスターが店に立ち、その日のマスターが厳選したメニューを提供するのが特徴だ。会期2日目の11月8日は本サイト「平成28年熊本地震 いまできること」を運営する公益社団法人助けあいジャパンの共同代表理事である石川淳哉がグランドマスターを担当。さらに、東日本大震災の被災地である岩手、宮城、福島に、熊本地震で被災をした熊本と大分を加えた五県からマスターが集まり、各地から持ち込んだ新鮮で美味しい料理とお酒を振る舞った。

14947532_1182596958461526_9052613473650017929_n

平日17時から開催されたにも関わらず、約200人が会場に詰めかけた。

復興バーの代表である一般社団法人東北支援会+(プラス)理事の茂手木厚志さんにイベント開催の経緯について話を聞いた。「2011年7月にISHINOMAKI2.0が石巻にオープンしたお店『復興バー』に訪れたときに、被災地にこんなに熱く前向きに語り合える場所があることに衝撃を受けました。東日本大震災から数ヶ月で早くも関心が薄れていっていた移ろいやすい東京でも、東北について語り合える場所をつくることはできないかと思い立ち、2012年の初夏に東京にてイベントとして『復興バー』を開催するに至りました。」

14956445_1182533338467888_8823673245614962493_n

復興バー代表の茂手木さん。2013年からボランティアで活動を継続している。

「わたしが被災地を訪れると、みなさんは『震災のことを忘れないで欲しい』と口にします。年に一度でも被災地のことを思い出したり、復興バーで出会った人たちと一緒に被災地を訪れたりすることに繋がればと思っています。今年は熊本地震が起きてしまい、熊本と大分も加わってしまいましたが、わたしは東京に住みながら被災地に通っているものとしての第三者的な立場で、これからも被災地と東京を結ぶ場をつくっていきたいですね。」

15027444_1182533445134544_2103597762600413766_n

大分ブースでは名物カボスをふんだんに使った「カボスボウル」が大人気。どのブースで何を食べるか、来場者はみな頭を悩ませていた。

また、場づくりの考えについて茂手木さんは続ける。「復興イベントだからといって難しいことを言うつもりもないし、文字通り“遊びに”来てほしいです。今まで被災地に関わってきた人だけでなく、被災地に縁がなかった人が興味を持ってもらえるように、入りやすい場であることを意識しています。現地でしか味わえない美味しいものが食べられるっていうのは無条件にいいですよね。運営は正直大変ですし、毎年ヒヤヒヤしていますが(笑)可能な限りずっと続けていきたいと思っています。」東京でも復興イベントが少なくなってきている中、毎年継続している復興バーへの期待の大きさは、年々増え続ける来場者の数からも明らかだ。

今回はじめて参加した熊本ブースのマスター大塚智子さんは、東京における“いまできること”について熱く語ってくれた。「わたしは熊本で生まれ、いまは東京で社会起業家支援の仕事をしています。熊本にも多くの親戚が住んでいることもあり、熊本地震が起こったときはいてもたってもいられず、東北支援で一緒に活動していた仲間や防災ガールのメンバーとともに、熊本に足を運んではいろいろな人に伝えるという活動をしていました。」

15036345_1182533331801222_966713283870833139_n

復興バー初参加となる熊本のマスター大塚智子さん。本業の傍ら、災害支援や防災に関する様々なプロジェクトを行っている。

「熊本で佐藤かつあきさんなどのBRIDGE KUMAMOTOのメンバーに出会い、東京から遠隔で参加するようになってから、わたしは都内の企業に被災地のニーズを伝えては企画を持ち込む毎日でした。そんな中で、東京でもできること、東京でしかできないことがあると気がついたんです。東京は、多種多様な人の集まり。私の周りには、ポジティブで才能溢れる人がたくさんいます。震災は本当に悲しいことですが、それからわたしの周りでは前向きな気持ちを持った人たちが集まって、素晴らしい活動がたくさんはじまっています。いまは、震災を何かをはじめる大きなきっかけと捉えて、その地域で生きる人たち、関わる人たちの想いをカタチにしていきたい、そう思っています。

赤牛のローストビーフ丼や熊本銘菓いきなり団子をアレンジしたいきなりタルトなど、バラエティに富んだ熊本ブース。

震災の支援に関わる人の中には、被災地支援を通じて自分の居場所ができたと話す人も少なくない。震災を悲しい記憶として留めるか、前を向くきっかけと捉えるかは復興の道のりを歩んでいく上でも大きな違いとなるはずだ。

「復興バーでは、東北に関わっていた方と九州に関わっている方が出会う場でもありました。いろいろなものや人が混ざりあって、つながっていくための架け橋がこれからますます必要だと思っています。そこからまた新しいことが生まれていくといいですね。」大塚さんは終始明るい笑顔で話してくれた。

15073302_1182533438467878_760278181497366491_n

この日生まれたたくさんの出会いから、また新しい支援の動きが生まれるかもしれない。

誰かのためになりたい。そんな、誰しも心のなかにある気持ちを丁寧につなぎ、表現するきっかけをつくること。それは、日本全国から大きなパワーが集まっている東京で、いまできることのひとつではないだろうか。そして、どんなときも楽しみながら続けていくことを忘れてはならない。心から信じられることにエネルギーを使うことを、人はきっと求めているはずだ。これからも熊本地震に関わるきっかけが多く生まれることを願わずにはいられない。

いまできること取材班
文章・撮影:柳瀬武彦

現地のいまを知る