現地のいまを知る

うつくしい南阿蘇村を再び―。手作りノートカバーで復興支援

2016.07.21

南阿蘇村久木野地区にある『あそ望の郷くぎの(あそぼうのさとくぎの)』は、阿蘇五岳を一望できる大パノラマのなか、レストランや物産販売所、パークゴルフ場などを備えた、人気の観光施設である。この敷地内にキルトショップを構える吉永道子さんら3名の女性たちが立ち上げた「南阿蘇がまだすプロジェクト」は、熊本弁の“がまだす(「がんばろう」の意)”に願いを込めた、個人運営の復興支援プロジェクトだ。

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吉永さんのお店『キルトハウス 風の道』がプロジェクトの拠点

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『あそ望の郷くぎの』には、約3000坪の広大な芝生広場があり、ここからの眺めは最高。阿蘇五岳も一望できる

プロジェクトメンバーが暮らす南阿蘇村は、阿蘇大橋と、俵山トンネルの崩落により、国道325号と県道28号のふたつの主要道路が寸断され、その影響が観光客の激減を招いているエリアだ。『あそ望の郷くぎの』がある久木野地区の直接的被害は、村内の他のエリアに比べ、そこまで大きくはなかったそうだが、観光客は地震直後、90%以上減。近隣に45カ所あった宿泊所もキャンセル100%に達したそうだ。「南阿蘇村へ、また観光に訪れてもらいたいという気持ちと、被害が大きかった地区の人たちのために少しでも役に立てればというのが私たちの願い」と、吉永さん。

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「南阿蘇がまだすプロジェクト」を立ち上げた吉永道子さん。パッチワークキルト作家である彼女の呼びかけで、メンバーが集結

こうして始動したプロジェクトは、手作りをするのが大好きな女性たちが、「熊本地震からの復興へむけて、自分たちにいま、できることからやろう」と話し合い、立ち上げたもの。A6サイズの手作りのノートカバーを作り、売上金の一部を義援金として村へ寄付しながら、うつくしい南阿蘇村の復興と、自分たちの生活再建への願いをこめ、ひと針ひと針ノートカバー作りに励んでいる。

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手作りのノートカバー(A6サイズ・ノート付き)税込み1,000円

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(左から)メンバーの藤田優美子さん、川端美保子さん、吉永道子さん

一冊ごとに違った表情を見せるノートカバーは、3名それぞれの感性で布を選び、それを縫い合わせていくため、同じものは一つもない。裏地までていねいに仕上げてあり、表紙には、「みなみあそ」の刺しゅう文字が刻まれている。ボランティアに訪れた人が、お土産に購入することもあるそうだ。販売窓口は、吉永さんのお店『キルトハウス 風の道』(阿蘇郡南阿蘇村久石2805)のほか、ホームページから通販も可能。 地震後の4月下旬から販売を開始し、村のために奮闘する彼女たち。朝から晩まで作って、やっと6~7冊出来上がるというカバーは、手作りならではの愛情がたっぷりだ。その小さな作品を手に取る人が増えれば、それが大きなエールとなって、南阿蘇村に元気を運んでくるはずだ。

いまできること取材班
文章:稲積清子
撮影:長谷和仁

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