現地のいまを知る

被災地だから、できること。地震の恐怖と防災の重要性を伝えるスタディーツアー

2017.07.18

熊本地震で甚大な被害を受けた益城町。熊本市と隣接する同町東無田地区では、復興に向けた独自の取り組みが数多く行われており、これまでに何度か紹介してきた。そして昨年11月からは、地区を巡り、地震や防災について学ぶ「スタディーツアー」を住民たちが新たに企画。全国から注目を集めている。

スタディーツアーの具体的な内容は、町外からの参加者に地区内を歩いてもらい、被災地のことを肌で感じてもらうとともに、座学で地震や防災についても学んでもらうというもの。これまでに十数回開催し、東京・大阪からの参加者も。企業、ボランティア団体、消防団からの申し込みも多いという。

スタディーツアーでは、被災した地区を回った後、地区の公民館で地震や防災について学ぶ座学が行われる

「町の中心部から遠く離れているこの地域は、行政の支援が届きにくく、被害が報道されることもほとんどない。自分たちで何とかするしかなかったのです」と話すのは、同地区で商店を営む田崎眞一さん。地震直後から自治会役員や消防団と一緒に復旧・支援活動を続け、「さらに息の長い活動を」と昨年7月に東無田復興委員会を発足、会長を務めている。同委員会はこれまで、夏祭りの企画・開催、地元カメラマンらが制作した地震被害記録冊子発行への協力、東無田地区の復旧・復興計画の検討や実行など、多岐に渡る活動を展開している。
そして、同委員会の副会長を務めているのは、【笑顔の復興プロジェクト、気球に乗って益城町を見てみよう!】の記事で取材した『バルーンでスマイルプロジェクト』代表の三村一誠さんだ。
スタディーツアーで伝えたいことは、被災した私たち住民の大変さではなく、地震の恐ろしさや防災の大切さです。地震はいつ、どこで起こってもおかしくありません。だからこそ、私たちの経験を多くの人たちに伝えていくことが重要だと考えています」と、スタディーツアーを企画した想いを語ってくれた。

東無田復興委員会の田崎眞一さん(左)と三村一誠さん(右)

もうひとつ、スタディーツアーには大きな目的があると田崎さんは話す。
この地域は、地震前から高齢化や人口減が進んでおり、地震が起こっていなくても衰退の道をたどっていたでしょう。だからこそ目指しているのは、東無田の交流人口の増加それにより、地域に活力が生まれます」。

地震から時が経ち、被災地の声が届きにくくなっている昨今。とはいえ、個人で被災地へ行き、直に見聞するのはハードルが高い。しかしながら、スタディーツアーのような受け皿があれば、グッと行きやすくなるだろう現状を体感し、防災について学び、住民との交流を育むそれは、被災地への支援になるとともに、自分や周りの大切な人の命を守ることにつながるはずだ。スタディーツアーへの参加は、私たちが、いまやらなければいけないことのひとつに違いない。

地区内を巡るツアー参加者。この日の参加者は大阪から

スタディーツアーの参加費は一人1,000円。売り上げは地域の復興に活用される。詳細は東無田復興委員会のフェイスブックページ、またはメール(higashimuta@gmail.com)で問い合わせを。

いまできること取材班
文章・撮影:高野正通

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