現地のいまを知る

環境改善が進む益城町の避難所

2016.09.01

益城町役場から車で5分ほどの場所にある『益城町総合体育館』。熊本地震後、多くの町民が身を寄せる避難所となるも、メインアリーナが損傷したため、限られた場所でしか避難者を受け入れられない状態に。玄関ホールにまで寝床が設けられるという大変な状況がしばらく続いていた。

その後、メインアリーナの補修が完了。避難者の生活拠点をメインアリーナへ移すことで、館内に少しの余裕が生まれた。さらに、6月14日からは仮設住宅への入居がスタート。それを機に、益城町体育館は避難所として、次の段階へと向かっていった

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補修工事を行っていた5月頃の体育館

避難生活期は収束し、長期復興期へと移りました。そこで、益城町総合体育館の生活環境改善に着手しました」と、益城町で支援活動を行う一般財団法人ダイバーシティ研究所の伊知地亮さん。

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一般財団法人ダイバーシティ研究所の伊知地さん

まず1階。ロビーはテーブルとイスを設置して、誰でも利用できるパブリックスペースとして整備。さらに、子どもたちが勉強できる自習室も設置された。2階には子どもたちが遊んだり、本を読んだりするフリースペースを設置。また、避難者が生活するメインアリーナとサブアリーナにはカギ付きのロッカーを設けるなど、避難者の不安やストレスを解消し、「日常の生活」を取り戻すための工夫が随所に。なお、これらの備品は『良品計画』、『岡村製作所』からの支援物資である。

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1階のパブリックスペース。これまでは「食べる」「寝る」「くつろぐ」を同じ場所で行わなければならない状況だったが、パブリックスペースの設置により、生活にメリハリが生まれた

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1階に設けられた自習室。子どもたちは周りを気にすることなく勉強に集中できるように

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残念なことに、避難所では貴重品の盗難が発生したという。安心して生活できるようにと、カギ付きのロッカーを設置。不安を取り除いていくことも、生活環境の改善において重要だ

そして、この環境整備には、もうひとつの大きな意味があると伊知地さんは言う。
台風の時期になると、避難者がさらに増えるのではないかと考えました新たに避難してくる人たちをスムーズに受け入れるためにも、1階と2階にフリーで使えるスペースをつくりたかったんです。2階は特に水害発生時の対策場所と考えていました。この付近は地盤が1m下がっており、5月の大雨時には体育館の目の前の川が氾濫しています。避難者の方々の生活環境を改善するとともに、次の災害への備えを整える。それが今回の環境整備のポイントです」。

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2階に設けられたフリースペース。災害発生時には避難場所として活用する予定だという

8月31日19時46分、最大震度5弱の地震が発生した。多くの人が、あの巨大地震のフラッシュバックに襲われたに違いない。震度5弱以上の揺れを観測したのは6月12日以来である。気象庁は、「今後も同じ程度の大きな地震が起きる恐れがある」として注意するよう呼び掛けた。生活復旧に目が行きがちだが、伊知地さんの言葉通り、「次の災害への備え」は確実に必要である

熊本地震から4ヵ月以上が経ち、被災地の状況、被災者の生活環境、そしてニーズは変わりつつある。それとともに、ボランティアの内容も、私たちができることも変わっていく。
「日常を取り戻すため」「新たな災害に備えるため」
2つの視点から、いまできることを改めて考えていきたい。

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震災後、避難者が身を寄せていた玄関近くのホールも、現在はパブリックスペースに

いまできること取材班
文章:高野正通
撮影:長谷和仁

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