現地のいまを知る

仮設住宅の現状 〜益城町赤井仮設団地〜

2016.08.29

8月25日の熊本県の発表によると、県内の応急仮設住宅の工事において、整備戸数4,202件に対し、工事完了戸数は3,461件。甚大な被害を受けた益城町では、整備戸数1,556件に対し、工事完了戸数は1,237件となっている。町内には17の仮設団地が整備される予定で、現在は11ヶ所の工事が完了しているという状況だ。

そのうちのひとつが『赤井仮設団地』。益城町役場から南へ車で10分ほど走った赤井地区の町民グラウンドにあり、戸数は35戸。5月6日に建設着手、6月10日に工事が完了し、6月14日から入居が始まった。益城町では広崎仮設団地とともに最初に完成した仮設住居である。ここでは、赤井地区と近隣の福田地区に住んでいた人たちが多く暮らしているという。

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高台にある赤井仮設団地

赤井仮設団地の自治会長を務めるのは、同地区で農業を営む笠井浩之さん。熊本地震により自宅は全壊し、奥さんと高校生のお子さん2人の計4人で、間取り3Kの仮設住宅に暮らしている。その生活について話を聞いた。
「本当は両親を含めた計6人で仮設住宅で暮らす予定でしたが、両親は“我が家がいい”と、壊れた家を応急処置して、まだそっちに住んでいます。農家は田んぼがあるので、遠くへ引っ越すことはできません。危険でも自宅か、近くの仮設住宅に入るしかない。仮設住宅に入居ができた私たちは運が良かったと思います。ここには風呂とトイレがあり、クーラー1台とガスレンジが備えられていました。他の必要な家電も自宅から運び出せたので良かったのですが、家がつぶれて運び出せなかった人たちは、(家電を)新しく買わないといけなくて大変だったと聞きました」。

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自治会長を務める笠井浩之さん。「顔なじみが多い地区だから、みんなに助けてもらいながら、何とか自治会長を務めることができています」

暮らしを再建しながら、笠井さんは自治会長として仮設団地の組織づくりにも着手した。まずは入居者の名簿もなかったため、連絡を取るためにも隣保組を作ったという。
1〜3班に分け、それぞれに班長を設置。自治会長、副会長、会計、公民館長、そして3人の班長で運営しています。自治会長のやり方は特に町から何も説明はなかったのですが、周りの人が教えてくれて。私も部落で役員の経験があったので、少しは分かりましたが」と笑う。

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笠井が家族と暮らす仮設住宅

そしてこの日の翌日には、懇親会のバーベキューを予定しているという。
「ありがたいことに、NPOの方がボランティアで実施してくださいます。うちの隣は別の地区から来た人たちなので、その時に挨拶しようと思っています」と、笠井さんは入居者との交流を楽しみにしていた。

この「入居者同士の交流」という面で、重要な役割を担う場所が団地内にある。入居者は自由に使うことができる「談話室」だ。
「お茶をしたりと、気軽に利用されています。家が全壊して法事ができないので、ここで法事をするという入居者もいますよ。毎週水曜日には、NPOの方がカフェを開いてくれています。入居者がくつろげる場所として、子どもが遊べる場所として、さらにボランティアの方々に使っていただける場所として、今後も活用できればと思います」と笠井さんは期待を寄せる。

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団地内にある談話室

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談話室の中。なお、談話室の光熱費は行政が負担をする

仮設団地では、さまざまな状況に置かれた人たちが、ひとつのコミュニティで暮らすことになる。だからこそ、心地良く暮らすためにも、スムーズな運営のためにも、入居者同士の円滑なコミュニケーションが大切だ。この談話室でのコミュニケーションづくりの企画などは、今後求められる重要なボランティアのひとつになるはずだ。

人をつなぐことが好きな人、一芸を持っている人、ワークショップなどのノウハウがある人。熊本で、その力を発揮してほしい。

いまできること取材班
文章:高野正通
撮影:長谷和仁

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