現地のいまを知る

継続的な支援が、被災地のチカラに! 「キリン絆ボランティア」の活動を取材

2017.07.13

東日本大震災以降、継続的に被災地へボランティアを派遣し、支援活動を続けているキリングループ。熊本地震の発災後は、「復興応援 キリン絆プロジェクト」熊本支援として、同グループが掲げる“絆を育む”をテーマに、「食産業復興支援」「地域の活性化支援」「心と身体の元気サポート」の3つの幹で地域に寄り添った活動をおこなっている。
そして今回、熊本地震から一年2か月が過ぎた6月に、従業員自らが復興支援に参画する取り組みとして、「キリン絆ボランティア」を熊本で初実施するということで現地取材に向かった。

南阿蘇村の長陽駅に集合したキリングループの従業員たち

全国のキリングループの応募者の中から、2班72名が参加した「キリン絆ボランティア」は、熊本市内、益城町、南阿蘇村で3日間にわたり実施された。
1日目は、現地の被災状況および復旧・復興に向けた動きを把握することを主な目的とし、被害が大きかった熊本城の視察や益城町テクノ仮設団地での講話。2日目は、インフラの復旧に向けた南阿蘇鉄道での除草作業や、阿蘇地域の現地視察。3日目は、除草作業に加え、被害が甚大だった阿蘇神社や門前町商店街での復興に向けた取り組みの講話などが計画された。

熊本地震以降、列車の運行がストップしたままの長陽駅

九州を中心に、全国から集まったボランティア

キリンビール株式会社 麻生芳彦熊本支社長。「ボランティア活動の現場で汗を流し、また仮設住宅や東海大学の学生さんなど、地元の人たちとの会話の中から、参加した社員が何かを感じ、それを仕事の現場に生かしてもらえれば」とあいさつ

ボランティア第2班の活動2日目となったこの日、長陽駅には、参加者総勢35名の姿があった。南阿蘇鉄道は、立野駅から高森駅まで全線17.7㎞の沿線に10カ所の駅があり、被害が大きかった立野駅から中松駅の区間(約10.7㎞)は、今なお列車の運行はストップしたまま。全線復旧までには5年ほどがかかる見通しで、被害が大きかった区間では、線路流失やトンネル内の亀裂など、いたるところに被災の爪痕が残されている。

長陽駅周辺。線路上には草がうっそうと茂っていた

長陽駅から少し歩いた先は、線路が見えなくなるほど雑草で覆われ、荒れた印象を受けた。例年であれば、こののどかな田園風景の中をトロッコ列車が走っているだが、地震後の景色はさすがに一変していた。

参加者たちの手によりキレイに整備されていく線路沿い

炎天下のなか、もくもくと作業が続いた

これまでキリングループでは、2011年の東日本大震災以降、仙台市での泥かき、石巻市での漁業支援、南三陸町での農地整備、牡蠣の仕分け、仮設住宅への訪問など、合計1131名の社員が、ボランティア活動をおこなってきた。

キリン株式会社CSV戦略部 キリン絆ボランティア担当の四居美穂子さんに話をうかがうと、「グループとして、熊本でのボランティアは初めてでしたが、九州にゆかりのある人や、熊本地震のあと何かしたいと思いつつ、仕事に追われて何もできなかった人、東北で震災を経験した人などが参加しています。地震から一年が経った熊本の現状を把握した上で、業務にどう生かせるのかを考えてもらえればと思います」。

キリン絆ボランティア担当の四居(よつい)さん

長陽駅では、土日、祝日限定で、駅舎カフェ「久永屋」を営業中。地元素材を使ったシフォンケーキや季節限定メニューが人気を集めている

除草作業を終え、駅舎カフェ「久永屋」の商品をお土産に買って帰る人の姿も

南阿蘇村・長陽駅での「キリン絆ボランティア」に参加した人の声

協和発酵キリン株式会社(東京都)の長友一剛さん。熊本益城町で生まれ育ち、今回のボランティアに参加。「地震後はじめて地元に帰省したとき、飛行機からみたブルーシートだらけの光景が、あまりにもショックでしたね。今回、やっとボランティアに来られてよかったという思いと、今後、帰省のタイミングで自分にできることを継続していきたいと思います」

キリンビール仙台工場の只野京子さん。「東日本大震災のとき、全国の皆さまからの支援に助けられました。その恩返しが少しでもできれば、との思いで参加しました。日本はいつ、どこで、地震が起きてもおかしくない国。特に高齢者が多い地域は、ボランティアの存在は大きいですよね。今回のキリンのCSVの取り組みが、ほかの企業の方にも伝わっていけばと思います」

メルシャン株式会社 八代工場長の上田渉さん。「工場で作っている『白水(はくすい)』という銘柄の焼酎に、この南阿蘇村の白川水源の湧水が使われています。熊本地震で、湧水が枯れることはありませんでしたが、この地域の被害は大きく、自然の恵みがいかに尊いものかに気づかされました。南阿蘇村の地域、そしてこの白川水源の恵みに感謝しながら、今後、ものづくりに取り組んでいきたいです」。

伸び放題になっていた草が取り除かれ、ようやく線路が姿を現した

除草作業を終え、笑顔の「キリン絆ボランティア」参加者たち

熊本地震から一年以上が経過し、人々の記憶が薄れていく中にあっても、こうして南阿蘇鉄道のように復旧・復興に課題を残しているところも少なくはない。そうした中、企業として被災地に寄り添い、地道な支援活動を続けているキリングループの存在は、復興を後押しする大きな原動力となっている。
熊本地震を忘れないこと。そして被災地のいまに思いをはせ、行動すること。一つひとつの積み重ねの先に、被災地の未来がある。

いまできること取材班
文章:稲積清子
撮影:長谷和仁

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