現地のいまを知る

「今の益城町を見て来てほしい」〜1年が経った被災地・益城町の現状②〜

2017.04.12

熊本地震は、住居や道路だけでなく、田畑、事業所、店舗など仕事の場をも奪って行った。1年が経とうとする今、その復旧は少しずつではあるが、確実に進んでいる。震源地・益城町でも、店舗の修復や移転を経て営業を再開する飲食店が増えてきた。また、被災した店舗が再開するまでの足がかりとして入居できる仮設店舗は、町内に3ヶ所整備されている。

昨年6月、益城町惣領地区に誕生した『益城復興市場・屋台村』

昨年9月、『阿蘇くまもと空港』近くのテクノ仮設団地内に誕生した『益城テクノ笑店街7

今年1月、木山地区に誕生した『いくばい益城笑店街』

益城町の商工業に現状について、益城町商工会青年部部長・青木博幸さんに話を伺った。
「仮設住宅ができ、生活の拠点が整ったことから、日々の暮らしは落ち着いて来たように思います。しかし、仕事の面でいえば、状況はさまざま。例えば、建築・土木関係の方々はとても忙しく、人手が足りずに困っているという声を聞きます。飲食店・商店関係では、はっきりとした数は分かりませんが、おそらく商工会会員の7、8割は何らかの形で営業を再開していると思います。一方で、1年経っても何も進んでいないところがあるのも事実です。また、営業を再開しても、近隣住民が仮設住居や離れたところに転出されたことで、地震前とはお客さんの流れが変わったということもあるようです」。

青木さん自身は『阿蘇くまもと空港』近くの駐車場で働いており、ほぼ例年通りの景気に回復しているという

熊本地震後、転出などで脱退する会員がいたそうだが、意外にも益城町商工会の会員総数は、地震後に増えたという。それは、補助金の申請や営業再開に向けての相談にのったりと、被災した会員のサポートを続けてきたことで、加入していなかった人たちにも、その存在感が伝わった結果なのだろう。

そして青木さんは、商工会の立場ではなく、個人的な展望も話してくれた。
益城町の風物詩といえば、春の初市と夏のお祭り。初市は今年3月、いろいろな方々の協力のもと、何とか開催することができ、地域の方々にとても喜んでいただけました。だからこそ、夏の祭りも個人的にはやりたいですね。まだ何も決まってはいませんが、名物となっている花火を上げたいという気持ちはあります。ただし、資金や会場、交通アクセスなど、課題は山積みです」。

1年が経ち、生活の基盤はある程度調いつつある。これからは、長い復興期へと入っていく。心が潤う、ストレスがリセットできる、そんな心的支援になる取り組みが必要であり、夏祭りはその大きな手のひとつになると感じた。

過去の花火大会の様子。会場から打ち上げ場所までの距離が近く、迫力のある花火が楽しめると、町内外から多くの見物客が訪れていた。昨年は残念ながら中止に

最後に、青木さんが全国に発信したいことを聞いてみた。
益城町は阿蘇のように観光地ではないので、なかなか気軽に町外・県外から人が来てくれません。そこで、来たことがない人は、ぜひ一度来て、現状を見ていただきたいと思います。そうすれば、何か思うことがきっとあるはずです」。

1年が経った被災地の姿を見ることができるのは、今だけ。その姿を目に焼き付け、これからの復興を見守ることは、きっと被災地の後押しになるはずだ。

益城町宮園地区の現在の風景。この辺りは地震で倒壊した建物が多く、メディアに多数取り上げられていた。現在は建物の解体が進み、更地が目立つ

いまできること取材班
文章:高野正通
撮影:長谷和仁

現地のいまを知る