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全線復旧を目指し奮闘中の「南阿蘇鉄道」。ローカル線に乗って、エールを送ろう!

2017.05.15

阿蘇の雄大な景色の中を列車がひた走る「南阿蘇鉄道」は、地元の人の通学や通院での利用、そして多くの観光客に親しまれている全長17.7㎞のローカル線である。昨年4月に起きた熊本地震で周辺の地山全体が大きく動いたことなどにより、トンネルや渓谷にかかる橋が大きく損傷。一時、全線運休になるほど、甚大な被害を受けた。

阿蘇五岳のひとつ根子岳をバックに走るトロッコ列車

昨年7月末に中松駅と高森駅の区間(約7㎞)で運行が再開。被害が大きかった立野駅と中松駅の区間(約10.7㎞)は今も復旧のめどがたっていない。そんな中、今年3月までに国の災害復旧調査が実施され、国土交通省が4月に発表した調査結果では、全線復旧に少なくとも5年、費用はおよそ65億から70億を要する見通しだという。本格的な復旧工事が始まるのは、これからということになる。

運転休止の区間では、土砂が崩れ、線路が流失している箇所も

全線復旧を目指し、頑張っている南阿蘇鉄道では、いま観光客を中心に話題を集めている列車がある。それが、復興支援の目的で運行している特別ラッピング列車「がんばれクマモト!マンガよせがきトレイン」と、かわいらしい姿が人気の「トロッコ列車ゆうすげ号」だ。

117名の漫画家・原作者の思いをのせた「がんばれクマモト!マンガよせがきトレイン」

マンガよせがきトレインの運行は、地震から丸一年を迎えた今年の4月15日よりスタート。11月30日までの運行期間中、ほぼ毎日運行しているそうだ。列車には、熊本の復興を応援しようと集まった、小学館各誌で活躍する名だたる漫画家や原作者、117名が描いた応援イラストが列車を元気に彩り、車内には直筆の色紙をすべて展示。マンガファンならずとも、見て乗って楽しむことができ、被災者にとっては、その一つひとつのメッセージが、前を向く力をくれることだろう。

阿蘇観光におすすめのトロッコ列車

一方、「トロッコ列車ゆうすげ号」は、毎年3月から11月限定で運行している観光列車で、今年も11月30日までの土・日、祝日(夏休み期間は毎日運行)限定で楽しむことができる。心地よい風を感じながら、家族や友達とのんびり阿蘇観光を楽しむのにうってつけの列車だ。

中川竜一さん

「南阿蘇鉄道株式会社」総務課長の中川竜一さんに話をうかがうと、地震直後から「早く全面復旧してほしい!」「南阿蘇村にまた遊びに行きます!」など、全国のファンから激励のメッセージが届けられ、いまも企業ボランティアの活動が続いているそうだ。

記念切手やTシャツ、キーホルダーなどお土産を買うのも支援のひとつ

駅舎では、オリジナルグッズなどのさまざまな支援グッズを販売。さらに、ホームページ上にもオンラインを開設し、復興応援切符や白川水源の水などを販売、募金も受け付けている。そのほか、4月18日からは「駅ホームまくら木オーナー制度」の募集を開始。運行している区間にある5つの駅を対象に、各ホームに支援者のメッセージや名前などを入れた「まくら木」を設置し、このオーナー料が復旧財源にあてられる。

支援の申し込みがスタートした「まくら木オーナー制度」

地域に根差した同ローカル線は、阿蘇観光になくてはならない存在であり、地元の人の大切な足でもある。全面復旧に向けて、全国から多くの支援の継続が必要とされていると同時に、実際現地に足を運び、列車に乗って観光を満喫するのも被災地支援のひとつになる。

運行再開区間にある「見晴台駅(みはらしだいえき)」。キリン「午後の紅茶」のCMの舞台

「最近は、道路の整備も進み、地域にあたらしいお店も増えました。全面復旧までの道のりは険しいですが、我々職員もしっかり顔をあげ、頑張っている最中です。ぜひ、多くの皆様に南阿蘇村や高森町へ足を運んでいただき、列車に乗ってもらえるとうれしいですね」と中川さん。

高森駅

運行が再開された区間には、夏場の暑さしのぎに最適な「高森町湧水トンネル公園」(高森駅から歩いて約10分)、湧水スポット「白川水源」(南阿蘇白川水源駅から徒歩約10分)などがあり、夏場のお出かけにぴったり。
雄大な阿蘇を走る小さなローカル線「南阿蘇鉄道」が震災前の姿に早くもどるように、全国からたくさんのエールを届けてもらいたい。

★列車の運行時間、オンラインショップなどは、南阿蘇鉄道のホームページ()をチェック

いまできること取材班
文章:稲積清子
撮影:長谷和仁

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