現地のいまを知る

震災から一ヶ月半。日本財団が現地報告・被災地支援説明会を開催

2016.06.03

熊本地震の前震から50日を迎えた、6月3日金曜日。東京の日本財団にて、企業を対象とした「熊本地震 企業に求められる役割とは?」現地報告・被災地支援説明会が行われた。企業として被災地に、今どのような支援ができるのか。そのヒントを得るために、約50社の担当者が詰めかけた。

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まずは、日本財団ソーシャル・イノベーション推進チームの青柳氏による挨拶。一ヶ月半に渡って被災地に入り、さまざまな支援活動を行ってきた日本財団。その中でわかってきた現地の状況や情報、空気を一度整理し共有した上で、これからできる企業としての支援活動を考えていきましょう、という言葉で会は始まった。

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青柳光昌氏(日本財団 ソーシャル・イノベーション推進チーム上席チームリーダー)

熊本地震での被災はどのようなものなのか。状況を今一度把握するために、熊本県庁の小牧氏から被害状況と県としての対応を報告。震度7が2回、震度6弱以上が7回発生したのは観測史上初めてのことだという。犠牲者69名(災害関連死含む)、行方不明者1名、負傷者は1600名を超え、約10万棟の家屋が全壊及び損壊。改めて一つひとつの数字と向かい合うと、震災がもたらした被害の大きさを感じる。

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小牧裕明氏(熊本県庁 企画振興部地域振興課長 兼県央広域本部振興部長)

震災はまだ終わっていない。余震は減少傾向ながらも未だに続き、震度1以上の余震は5月末時点で1612回。現在でも8000人を超える人が避難所生活を余儀なくされ、在宅や車中での避難生活者を含めるとその数は大幅に増えるだろう。熊本と大分を中心に被害のあった今回の地震だが、観光に目を向けると、九州全体に影響があるという。九州が一丸となって、復興への歩みを進めていくと小牧氏は強い想いを言葉に込めた。そんな中、熊本県民にとっての心の拠り所である熊本城のライトアップが今月に入って再開したという。そのような明るいニュースが、被災者の気持ちをも明るくすることを願ってやまない。

続いて登壇したのは、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク 準備会(以下、JVOAD)の栗田氏。JVOADは、官と民、民間団体同士の連携を平時からつくり出し、有事の際に有益かつ迅速な支援活動が展開するための、ネットワークオブネットワークだ。前震の一日後、本震の一日前の4月15日から現地入りし、現在は熊本県庁の敷地内に拠点を構え、現地で活動するNPOやNGOの連携・協同を行うための会議「熊本地震・支援団体 火の国会議」をなんと毎晩開催している。

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栗田暢之氏(全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)準備会 代表

栗田氏がまずあげた課題は、ボランティアの不足だ。ゴールデンウィークには増加し今までに約7万人がボランティアに参加したが、その後激減し、復旧の歩みが遅れているという。学生の夏休みまでは時間がある。それまでに企業がどのような動きをとれるかが、復旧のスピードを決める一つの鍵になるかもしれない。つぎに、避難所の運営。役場の職員自身も被災をしている状況の中、通常の業務に加えて、避難所の運営や罹災証明の発行など緊急の業務が積み重なっている。これから仮設住宅、復興公営住宅の建設と進めていく中でも、民間の連携は非常に重要になることは間違いない。

続いては、一般社団法人 ピースボート災害ボランティアセンター (以下、PBV)の上島氏。避難所から遠く離れていたり、空き巣の懸念、農作業などで家を離れられない人が多くいること。避難所の食事は、おにぎり、菓子パン、弁当が中心なので、補食として野菜の多い汁物や果物をPBVが提供していること。仮設住宅には電化製品は一切支給されないこと。事務局長として、被災の現場に寄り添っている上島氏の言葉はリアルだ。

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上島安裕氏(一般社団法人 ピースボート災害ボランティアセンター 事務局長/理事)

現地が必要としているのは「人」。屋根瓦やブロック塀の回収や運搬の人手もさることながら、企業からはぜひ長期的なプロボノ派遣を期待したいと、企業の積極的な支援の姿勢を上島氏は強く訴えた。自社の強みを活かした被災地支援を検討するには、被災地の細やかなニーズを企業がつかむ必要がある。継続した情報収集が大切だ。

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「被災地支援を考えている方は?」と聞くと、参加者の半数以上が手をあげた。

会社としてできることを探しに、被災地を見てきたばかりの災害支援担当者がバトンを受けた。日本アイ・ビー・エム株式会社の小川氏とサノフィ株式会社の本山氏。民間防災および被災地支援ネットワーク(CVN)に参加している2社のふたりは、PBV上島氏のアテンドで、先週被害の大きい益城町を中心に、避難所やボランティアの現場を視察した。「メディアでの報道は減ってきているが、現地ではまだまだ厳しい生活が続いている。企業ができることはたくさんある」と声を揃える。がれきを片付けたり、壊れた家屋から貴重品を取り出したり、危険を伴わない範囲内でもいまできることはある。

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小川愛氏(日本アイ・ビー・エム株式会社 マーケティング&コミュニケーション 社会貢献 部長)

また、企業の人間は何かのプロフェッショナルである。その企業だからできること、その社員だからできることと支援のニーズを結びつけるスキルマッチングの重要性にも触れていた。企業としての課題は、社員を現地に送るために多くの調整や手続きが必要になること。スピードでは個人のボランティアには及ばずとも、長期的な視点で、安定して人員を供給することが企業に期待される。

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本山聡平氏(サノフィ株式会社 渉外本部 パブリックアフェアズ&アドボカシー クロスファンクショナルコーディネーター)

最後に日本財団の青柳氏が、いままで日本財団が行ってきた取り組みの紹介と企業ができることについて説明した。日本財団は熊本地震緊急対策支援策を掲げ、いち早く被災地に支援を行ってきた。その一環で開設した日本財団災害復興支援センター熊本本部は、現地で活動する団体が使えるシェア事務所として、有効に活用されている。

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青柳光昌氏(日本財団 ソーシャル・イノベーション推進チーム上席チームリーダー)

復興のプロセスは、「緊急期」「生活再建期」「復興期」の3つに分類することができるが、今はまだ避難所生活が続く緊急期だ。多くの人の認識と、現地の実態が乖離していることを強く感じる言葉であった。住宅という生活拠点を確保した先には、心のケアやコミュニティの形成、事業の支援などニーズは移り変わっていく。「日本財団は現地と企業をつなぐ役割を果たしたい。東日本大震災で支援に参加した企業のみなさんは、ぜひその経験を活かして熊本への支援をお願いしたい」と会を締めた。

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復興のプロセス。避難所生活が続くいまはまだ「緊急期」だ。

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閉会後も企業の担当者は熱心に登壇者から現地の状況を聞き、自社でできることを模索していた。

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日本財団による相談ブース。現地のニーズと照らしあわせて、具体的な支援のプランを立てていく。

企業のリソースを最大限に活用するには、現地の状況とニーズを正確に把握し、支援と丁寧に結びつけていくことが必要だ。そのためにも、このサイトでは現地のいまを継続してお伝えすることで、いまできることを知る道標として活用いただければと願う。被災地に平穏な生活が戻る日まで。いまこそ企業の支援が必要だ。

いまできること取材班
文章:柳瀬武彦
撮影:野瀬雅之

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