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阿蘇郡西原村の被災農家を元気づけたい! 食のイベントで復興をあと押し

2016.12.06

4月に発生した熊本地震以降、さまざまな企業や団体が復興へ向けた取り組みを続ける中、個人で支援活動を積み重ねてきた人物がいる。シニア野菜ソムリエの持田成子さん(熊本市)がその人だ。持田さんは自らの資格を生かし、地震直後から避難所で野菜スムージーの提供や被災農家さんの支援を目的に他県での復興イベントに参加したり、企業への橋渡しをしたりと、さまざまな支援活動を継続してきた。
そんな中、地震後からずっと気がかりにしていたのが、農業被害が大きかった阿蘇郡西原村のことだったという。同村は熊本地震で震度7を記録。主要道であった県道28号(俵山バイパス)が寸断され、地震後の豪雨被害で土砂崩れも発生。多くの農家が度重なるダメージを受けた。
「少しでも西原村の被災農家さんを元気づけたい」という持田さんの思いがきっかけとなり、11月初旬に熊本市と西原村の2カ所で復興イベントが開催された。

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イベント会場では、飲食ブースなどが並ぶマルシェも開催

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(写真左から)イベントを主催した天野製茶園の天野社長と持田さん、そして東京から来熊の大林監督

この日のイベントは、「西原ごはん映画祭&お庭マルシェ」と題し、大分県臼杵市を舞台に有機農業を追いかけたドキュメンタリー映画「100年ごはん」の上映会が予定されていた。映画を撮った大林千茱萸(ちぐみ)監督も東京から来熊。地震後の村の現状を監督にも見てもらおうと、映画祭の前に地元の方のアテンドで、被害の大きかった地区を見学した。
主要道はいまだ寸断されており、目的地まではう回路を経由。細い山道を復旧工事のためのダンプが行き交い、のどかであった村の光景は一変。道すがら崩壊したままの家もまだ残っており、地震の爪痕を垣間見ることができた。

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被災地の様子を見て回る大林監督(写真中央)と、案内の持田さん(右)

被害が大きかった大切畑地区に到着したとき、見上げた橋げたが脚から1メートルほど大きくずれていると説明を受けた。あんなに巨大で頑丈な橋がこれほどの衝撃を受けるとは、震度7の地震のすさまじさを改めて目の当たりにし、言葉を失った。この橋の復旧にはまだまだ時間を要するようだ。その現実と向き合わなければいけない地元の方々のことを思うと、それだけで胸がぎゅっと締めつけられた。

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熊本市内から南阿蘇村を結ぶ俵山バイパス。この大切畑大橋は、真下から見ると、橋が大きく左に1メートルほどずれているのが確認できる

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被害状況を見て回る大林監督(右)

その後、イベント会場にもどってくると、地元の農産物や飲食販売のブースが着々と準備中だった。映画上映に先駆け、音楽イベントで盛り上がった後、監督とゲストスピーカーを交えたトークセッションがおこなわれ、映画にまつわる話や西原村の住民たちへ応援メッセージが送られた。

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地元グルメを中心においしいものが並んだ飲食ブース

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数組のアーティストが歌声を披露した音楽イベント

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監督とともにトークセッションにのぞんだのは、福島県から応援に駆けつけたゲストスピーカーで料理研究家の中村さん(左から2人目)、地元でボランティア活動に取り組む寺本さん(左)

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4年がかりで制作にのぞんだという「100年ごはん」の上映会

上映に際し、大林監督から「この会場に来る前に、村を案内していただきました。途中、田んぼも用水路の水も枯れてしまっていて、多くの農家さんが被災されている現状を知り、この映画を西原村で上映することの意味ってなんだろうと考えながら過ごしました。3.11のときも、熊本地震のときも、私は東京にいましたけれど、決して他人事ではないと感じました。この映画をつくり、全国で上映会をはじめて今日で165カ所目になりますが、各地でいろんな出会いがあり、こうして西原村の皆さんと出会えたこともこの映画のおかげだと思っています。人間に共通する〝食べる〟ことを通して、明日へつながる一歩をふみだすきっかけになれば」との熱いメッセージが。
そして、「100年ごはん」の映画祭をぜひ西原村でやりたいと声をあげた持田さんは、「この映画をみて、西原村の人たちが『私たちも負けとらんばい!』と思ってもらえたらうれしい」と力強くあいさつ。
個人での支援活動は、できることが限られるのかもしれない。それでも、気持ちをつなぎ、できる支援をこつこつ続けていくことが、被災者の心の支えとなり、ふんばる力になるのだと実感した西原村での取材だった。

阿蘇郡西原村の農家さんを応援しよう

地元の農産物や加工品の直売で人気の俵山交流館 萌の里は、地震後に道路が寸断されたため、休業を余儀なくされていたが、「復興市場 萌の里」(阿蘇郡西原村小森字下新所原3019 ☎096-237-7333)として8月下旬より仮設での営業をスタート。農家の皆さんが丹精込めて育てた朝採れの新鮮野菜を食べて、西原村をみんなで応援しよう。

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県道206号沿いにオープンした「復興市場 萌の里」。地元の農産物をはじめ、加工品などが並ぶ

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仮設店舗で元気に営業中。通販についての問い合わせもお気軽に

いまできること取材班
文章:稲積清子
撮影:長谷和仁

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