現地のいまを知る
益城町の“元気”に会いに行こう!復興市場・屋台村がオープン
2016.08.23
益城町の惣領地区。町の大動脈となっている県道28号沿いに、6月25日から『益城復興市場・屋台村』がオープンしている。開設したのは、町商工会と一般社団法人まちづくり益城。休業中のスーパー駐車場に張った大型テントに、熊本地震で被災した同町の飲食店や商店をはじめとした15店舗、21業者が入居し、元気に営業中だ。
「外部からのご支援だけではなく、自分たちでもできることをやっていこうと『益城復興市場・屋台村』を企画しました。内側から、益城町を盛り上げていきます」と、一般社団法人まちづくり益城の事務局を務める野田勇一郎さん。
37年の歴史を持つ老舗中華料理店『永龍』。前震で店は大きな被害を受け、本震で店も自宅も使用できない状態になったという。「地震後は、店と自宅を片付ける日々でした。再開は無理だと思いましたが、どうしても店の看板が捨てられなくて。心のどこかに、もう一度店をやりたいという気持ちがあったのでしょうね。ここで再開できて、本当に良かったです」と奥さまは微笑む。
『益城復興市場・屋台村』から西へ車で15分ほどの場所、熊本市東区新生で43年の長きにわたり営業してきた焼鳥店『雀暮林(じゃんぼりん)』。店は地震で全壊したため解体、現在は更地となっている。「復興に向けて仕事をしなければいけないのに、店がつぶれてしまって。それが一番つらかったですね。でも、ここを知人から紹介していただき、営業できるようになりました。提供できる料理は以前に比べ限られていますが、工夫しておいしいメニューをご提供します」と、ご主人は前だけを見つめている。
役場の近くに店を構えていた美容室『おしゃれ館 高橋』。「店舗兼住宅は全壊しましたが、奇跡的に店の器材を取り出すことができて…。店を再開しなさいという天からの導きだったのかもしれません。一度は転職を考えましたが、やっぱり美容師の仕事をしたくて、ここに出店を決めました。被災するまでは仕事をすることが当たり前でしたが、今は仕事ができる喜びを感じています。少しずつ日常に戻り、心も元気になってきました」と、ご主人は現状を教えてくれた。
お店の人たちの話しを聞きながら、強く感じたのは、みなさんの前向きな気持ちだ。生活も仕事も、大変な局面であることには変わりない。しかし、料理や商品、サービス、そして接客には元気がみなぎっていた。
「復興支援のため」。そんなふうにかしこまらなくても、益城町の今を知り、魅力を知り、人と触れ合うために、ふらりと訪れてみてはどうだろう。食べて、飲んで、買物して、キレイになって。純粋に楽しむことが、益城町の力になるはずだ。
いまできること取材班
文章:高野正通
撮影:長谷和仁